これらの新規事業が利益を生み出すのは数年後だが、営業費用は既に急増し同社の利益を圧迫している。
調査会社「Dealogic」によるとアリババグループは昨年、物流会社「Cainiao(菜鳥)」の経営権を取得し、ハイパーマーケットを運営する「Sun Art(高鑫零售)」を29億ドルで買収するなど、51件のディールに総額210億ドル(約2兆3000億円)を投じた。
今年は既に350億ドル(約3.8兆円)を費やしており、投資総額は「ブラックストーン・グループ」や「カーライル・グループ」などのプライベートエクイティ大手を抜き、世界で11番目となっている。
今年実行したディールの中には、95億ドル(約1兆円)で買収した食品デリバリーサービス「Ele.me(饿了么)」が含まれるほか、パキスタンのEコマース大手「Daraz」を傘下に収め、南アジアでのプレゼンスの拡大も図っている。
不透明な投資対効果
これらの投資からどれだけのリターンが見込めるかは不透明だ。アリババは、店舗オーナーに顧客の嗜好に基づいたデータやWEBツールを提供して収益を上げたい考えだ。小売りチェーンを買収した背景には、これらのテクノロジーを実店舗で試す狙いがある。最大のライバルであるテンセントも小売チェーンと提携して、独自のアナリティクスツールなどを提供している。
アリババは新規事業に数百億ドルを投資しているが、2018年3月31日までの第4四半期決算の売上97億ドル(約1兆円)への貢献度は10%に過ぎない。「86 Research」のアナリスト、Wang Xiaoyanによると、この10%の大半はスーパーマーケットチェーンの「Hema(盒馬鮮生)」と百貨店の「Intime(銀泰商業集団)」の売上だという。