これら3つの要素はいずれも、それ自体が「原因」でないことは明らかだ。ほぼ間違いなく、何かによって引き起こされる「症状」だ。オピオイド中毒は近年、米国中に痛ましい被害をもたらし、平均寿命を引き下げている。サックス教授は、「平均寿命が伸びてきた中で、それに逆行する結果となったことは衝撃的だ。先進国ではここ数十年、他にこうした例はない」と述べている。
米国でのオピオイドの乱用は、この国にはより深い心理的な問題があり、自ら治療する必要があるということを示している。
さらに、米国ではうつ病が驚くほど一般的な病気になっている(ただし、これは世界中のどの国でも同様だ)。サックス教授はその原因として推測される問題として、以下を挙げている──社会的要因(社会的支援の欠如、孤独感を持つ人や孤立する人の増加)、経済的問題(所得の問題、お金に関するストレス)、物質主義の台頭(近年になって顕著になっており、うつ病との関連が指摘されている)、身体的な問題(砂糖依存症、肥満、運動不足)、ソーシャルメディアやスマートフォンの使用に費やされる長い時間。
症状と原因を分けることは、必ずしも簡単なことではない。ただ、米国の幸福度が低下している根本的な原因は、ある意味では全てが社会的なものだ。そして、真の社会的つながりと支援ネットワークの崩壊と、深く関わっていると考えられる。
米国人は恐らく、リストの上位に入るデンマークやその他の国から学ぶ必要があるだろう。お金を稼ぐことばかりを重視するのではなく、生活の中心的な部分に「ヒュッゲ」を取り入れるべきかもしれない。