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国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

Photo by Alexander Koerner/Getty Images

今やいつでもどこでも、AI(人工知能)や自動運転、電気自動車の話題で持ち切りだ。自動車メーカーが新しい技術を開発して、自動運転を推し進めていると伝えられる。だから、ひょっとしたら2020年の東京五輪の頃には自動運転がかなり実現するのではないか、と思ってしまったとしても仕方ない。

一方で、つい最近アリゾナ州でウーバー社が行っていた自動運転実験での人身事故のように、自動運転プロトタイプの事故も起きている。

それでも、世界中の自動車メーカーは自動運転技術の開発を血道を上げている。それはなぜなのか? 僕が見聞きする限りでは、理由は主に2つある。

まずは、死亡事故を減らしたいからだ。たとえば、アメリカでは毎日100人が交通事故で命を落としている。そこで政府は、自動運転こそ、犠牲者を減らす最善の方法だと考えている。

もうひとつの理由は、どのメーカーも、他社に遅れを取りたくないからだ。自動車メーカーは、自動運転の技術が近い将来、莫大な利益をもたらすだろうと期待しているので、絶対に他社にリードを許したくない。つまり、今やるしかないのだ。

「電動化と自動運転の技術を確立するには、数十年かかるでしょう。でも、メーカーも関連企業も、近未来に成功し、自動車業界を変換させるためには、今こそ投資しなくてはならない」と、ミシガン州にある自動車関連の非営利調査機関オートモーティブ・リサーチ・センター(CAR)のカーラ・バイロ氏は言う。

しかし、現実には、自動運転技術の開発をどうしても推進しなくてはならないというメーカーの考えと、一般ユーザーが作って欲しいと期待するものには、大きなギャップがあるように思えて仕方がない。

つい最近もヨーロッパやアメリカでいろいろな人と話をしたが、そのほとんどは、自分で運転することを楽しんでいて、自分のドライブ技術は平均点以上だと信じている。そして、自分には事故など起こり得ないと考えている。それに結局、一般ユーザーが考える自動運転は、アクセルとブレーキを自動的に制御して、一定の車間距離を保ちながら、クルマが自動で定速走行してくれる装置(ACC=アダプティブ・クルーズ・コントロール)と、レーン逸脱警告機能が進化したものだと思っている。 これは、自動運転としては、レベル5の中のレベル3という段階だ。

あるいはもう1、2段階上を期待しているかもしれないが、自動運転車両しか走らないオリンピック選手村や会員制のリゾート地などの限られた空間で走行する車両を想像している。

加えて、最近起きたウーバー社とテスラの事故のせいで、自動運転に対する一般人の考えはネガティブな方を向いてしまっている。現在のような初期段階で人身事故が続くと、自動運転に対する追い風は弱まってしまう可能性がある。

文=ピーター・ライオン

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