「日本を知る衝撃」を世界へ 「ジャパン・ハウス」3館長に勝算あり

外務省の戦略的対外発信の拠点として計画された「ジャパン・ハウス」。サンパウロに続き、いよいよ今年ロンドンとロサンゼルスでも始動を目前に控えている。知っているはずの、あるいはまだ知らない日本の魅力をどう発信していくのか。3都市の館長に話を聞いた。


What is JAPAN HOUSE?

情報量が拡大し、伝達手段が多様化しつつある国際社会において、日本はどのように自らの“正しい姿”を示し、独自の立ち位置を得ながら、親日派・知日派を増やしていくことができるだろうか──。

これまで長年かけて築いてきた国際関係が、刻々と変化する国際情勢の中でどう進展していくかが見えにくくなってきた今日。外務省は、長期的な視野に立った広報文化外交を画策する中で、その海外拠点の創設に踏み切った。

「ジャパン・ハウス」は、日本に対するさまざまな情報を入手できるワンストップ・サービスの提供、民間の活力、地域の魅力を活用したオールジャパンの発信、現地のニーズにきめ細かく対応した共感を呼ぶ発信の実現を通じて、日本の魅力の海外発信力を強化する重責を担う。分かりやすく言えば、海外の一般市民が気軽に日本を体験し、日本と交流できるもうひとつの大使館とでもいった存在だ。

昨年オープンしたサンパウロに続き、今年はロサンゼルス、ロンドンにも開館が予定されている。「世界を豊かにする日本」をコンセプトに企画される多種多様なコンテンツもこれからは巡回展の形を取るようになり、それが思惑どおりに話題となれば、いよいよ世界規模でのムーブメント=日本ブームへと発展する希望も見えてくる。日本と海外を繋ぐ架け橋として期待される「ジャパン・ハウス」。そこには、日本の未来がかかっているのだ。


WHAT TO EXPECT FROM JAPAN HOUSE? ──ジャパン・ハウスを構成する6つの領域

HOSPITALITY
緻密、丁寧、繊細、簡潔をモットーとする施設運営を目指す。施設の空間は常にメンテナンスや掃除が行き届いた状態に保たせ、透徹した清潔感を隅々まで行き渡らせる。来館者への丁寧な応対など、日本が世界に誇る「おもてなし」としてのホスピタリティの水準をジャパン・ハウスに導入する。

DESIGN
さまざまな分野における日本のデザインの粋を結集させる。施設の設計には、高い実績を持つ専門家を選定し、空間のアイデンティティをつくり上げる。施設の設計・デザインやサインデザインなどは東京と連携。また、多彩な才能がオールジャパンで活躍できるような仕組みを考察し、体制が自然に立ちあがるような環境を整備していく。


6つの領域
・EXHIBITIONS

定期的な企画展/巡回展を実施。日本での公募も行い、あらゆる領域を扱うことで、各都市を活性化する「脈動」を生み出す。

・TALK SESSIONS/WORKSHOPS/PERFORMANCES/THEATER
ジャパン・ハウス全体を可変的なイベントスペースとして立体的に利用。空間全体が利用できるように会場施設を整える。

・SHOP
現地メディア等とも協働して、日本のものづくりを見つめ直し、世界の文脈に寄与できるような製品を送り出す。

・FOOD AND DRINK
定食、懐石、こだわりの器で飲む日本酒など、各都市の状況に見合う食のサービスの形を探り、和食の拠点をつくる。

・BOOKS/WEBSITE/CAFÉ
さまざまな書籍が閲覧できるスペースやカフェを設置。また、日本を紹介する優れたwebsiteをまとめてキュレーションする。

・NETWORKING
各地のビジネス関係者と日本の企業や産地、才能が自由に交渉できる場を創出。新たなビジネスチャンスの醸成を目指す。



ジャパン・ハウスの総合プロデューサーを務めるグラフィックデザイナー原研哉がロゴをデザイン。漢字の「一」がモチーフとなっている。

次ページからはサンパウロ、ロンドン、ロサンゼルス各館長のインタビューをお送りする。ジャパン・ハウスの魅力について語ってもらった。
次ページ > 震災復興に見た、日本の底力

文=大野重和

この記事は 「Forbes JAPAN 時空を超える、自分を超える異次元のワークスタイル」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事