欧州宇宙機関(ESA)と米国の「エアロスペース・コーポレーション」は天宮1号の落下時期について、3月30日から4月3日の間と予測するレポートを発表した。ただし、正確な時期の予測は難しいという。
天宮1号の大気圏再突入のタイミングの予測が困難であるのは、次の理由による。1. 大気の上層部の密度の変動が激しいこと。2. 天宮1号の正確な質量及び構成物質が不明であるため、大気圏突入の確度の予測が非常に困難であること。3. 天宮1号の正確な速度が予測できないこと。
天宮1号は中国初の有人宇宙ステーションの建設を目指し、2011年9月に打ち上げられた。全長は10.4メートル、重量は約8.5トンとされている。2012年6月には有人宇宙船「神舟9号」とドッキングし、中国人宇宙飛行士が初めて乗り移った。
その天宮1号がコントロール不能に陥ったのは、2016年3月のことだった。中国は今も機体の制御を行おうとしている可能性もあるが、現時点では操縦不能の状態が続いている。
人工衛星が地球に落下する際には、大気との摩擦でほとんどが燃え尽きてしまう。機体の一部が地球に届く可能性もあるが、それが人間や地上の建物に被害を与える可能性は、ほとんど皆無といえる。
大気圏突入の際には発光現象が観測できる可能性もある。それがいつ、どの地域になるのかの予測は困難だが、ESAやエアロスペース・コーポレーションらは観測を続け、可能な限り正確な情報を提供しようとしている。