しかし、ここに来て新たな"トランプ効果"が見えてきた──。ジャーナリストを志す若者たちが増えているのだ。経済メディア「MarketWatch」のレポートによると、それは大学のジャーナリズム部門の入学希望者数の推移からも明らかだ。下記にいくつかその事例をあげよう。
・コロンビア大学のジャーナリズム学科の入学希望者数は、2017年から2018年にかけて、例年を10%上回る増加を記録した。
・南カリフォルニア大学(USC)のジャーナリズム部門「Annenberg School for Communication and Journalism」の志願者も数年前と比較すると19%の伸びになり、これまでの最高記録を更新した。
・ノースウェスタン大学のジャーナリズム部門の2018年から始まるコースの志願者も、前年度から24%の伸びを記録している。
現在の状況は1970年代に「ワシントンポスト」のボブ・ウッドワードやカール・バーンスタインらが、「ウォーター・ゲート事件」を取り上げ、最終的には当時の大統領のリチャード・ニクソンを辞任に追い込んだ時代を想起させる。
近年は新聞業界が経営危機にあえぎ、記者たちがリストラに追い込まれているニュースが盛んに報じられている。しかし、ここ5年ほどの間で専門家の間から、今こそジャーナリズムの復権を考えるべき時であるという見方も浮上した。
新聞のような伝統的ジャーナリストの職場は減っているかもしれないが、新たな活躍の場は広がっている。2013年にHenry Blodgetは「A Golden Age for Journalism(ジャーナリズムの黄金時代」と題した記事を「Business Insider」に寄稿した。
文中でBlodgetは「新しい時代のジャーナリスト志望者には大きな未来が待っている。そこで大切なのは、大手新聞の幹部らが経営状況について話す、しみったれた議論に耳を貸さない姿勢だ」と述べた。
Blodgetによると、ニュースに対する人々の欲求はかつてないほどに高まっており、モバイル端末を通じたメディアへのアクセスがその欲望を増幅している。また、優れた記事は旧来の紙に印刷された新聞の枠組みを超え、世界に広がるパワーを持っている。
MarketWatchはジャーナリスト志望の学生にインタビューを行い、「政府にきちんと説明責任を果たさせるために、この職業に就きたいと思う」という答を引き出している。このような学生たちが今後増えてくるとしたら、ジャーナリズムの未来は明るいといえる。