自動運転時代のおける「運転による快楽」の再定義

マセラティ初のグレアフリーのマトリクス ハイビーム技術を採用したアダプティブフルLEDヘッドライトを装備。

北イタリアの古都、ボローニャは古くから栄える大学都市。いまもって、イタリアの交通の要所であり、自動車や織物といった産業が集積する都市でもある。

マセラティがこの街で生まれた証として語られるのが、バッジに採用される銛のマークである。実際、街の中央にあるマッジョーレ広場に佇むネプチューン像の手には三叉の銛が掲げられており、この街を守りながら、発展の歴史を見守ってきたとでも言いたげだ。

1914年に創業されたマセラティは、初期にはレーシングカー・メーカーとして輝かしい戦績を収め、戦後になると高性能のグランツーリズモを送り出す。伝統を受け継ぎながらも、技術革新に積極的な姿勢を持ち続け、イタリアでは成功したビジネスパーソンの象徴として支持されている。
 
100年を超える歴史の中で、運転することで得られる快楽を追求してきた自動車メーカーだが、最新モデルとなる18年型「ギブリ」では、驚くことに自動運転の機能が備わった。いわゆるレベル2にあたるもので、車線内を保って走ることや自動ブレーキで停止できる。

ステアリングホイールに手を添えなければならないが、高速道路を巡航したり、渋滞するようなシーンにおいて、運転のストレスを大幅に緩和できるだろう。
 
エクステリアの変更は空力を意識したもので、ピニンファリーナの手になるオリジナルを活かしたエレガンスを保つ。室内に目を向けると、コックピットのような形状のドライバーズシートには上質な革が奢られており、マセラティの伝統を感じる。同時に、Apple CarPlayのような最新のインフォテインメントの搭載にも余念がない。



エレガンスを身に纏うと同時に、ドライバーズシートに身を沈め、エンジンを目覚めさせれば、次の刹那にマセラティの伝統である官能的なサウンドが響き渡るであろうことは、いまさら語るまでもない。
 
いや、むしろ、官能的な走りができる瞬間を際立たせるために、それ以外のシーンではドライバーを積極的にサポートする。それこそが、新しい時代のラグジュアリー・スポーツカーの在り方に違いない。

text by Yumi Kawabata, Toru Izumoi (Tri foglio) | edit by Tsuzumi Aoyama

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