起業家の宝庫フィンランドに学ぶ3つの思考習慣

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スタートアップ500社以上が拠点を置くフィンランドの首都ヘルシンキは、活気あるエコシステムを誇る都市だ。テクノロジー分野での破壊的イノベーションを目指す、野心的な起業家の宝庫でもある。

起業が盛んなフィンランドは、スタートアップ育成の中心地でもある。2016年にはフィンテック関連のスタートアップへの投資額が、前年比で42%増加した。2011年と比べると、約4倍にまで増えている。テクノロジーやデザイン、イノベーションといった分野で同国企業の活躍が目立つ理由は、どこにあるのだろうか。

起業家としてのフィンランド人の優れた能力は、この国の文化に深く根ざした特有の価値観にあると考えられる。ビジネスの成功を目指す起業家は、フィンランド人の3つの習慣と、それらに基づく考え方から学ぶことができる。

1. 「Sisu(シス)」──何があってもやり遂げる

フィンランド人は、忍耐力や意志の強さ、立ち直る力、決断力、そして生存主義(「命あっての物種」主義)などとも解釈される信条を持つとされる。「シス」という言葉で表現される「何があってもやり遂げる」という考え方だ。

この考え方は、ただ単に望むものを手に入れるということではない。逆境を克服し、失敗から学び、約束したことを守り、やろうと決めたことを実行したかという資質に関わる点も問われる。そこには、言い訳は通用しない。

2. サウナ文化──全ての人に同じ敬意を持って接する

フィンランド文化の不可欠な一部であるサウナは、人々が心身ともにリラックスするためのものだ。同時に友情を築いたり、何かに合意したり、政治やビジネスに関わる重要な意思決定をしたりする場でもある。

フィンランドは外交と民主主義の成功で知られる。この国のそうした伝統は、結局のところ人は皆同じ、という文化的信条を反映したものだ。そのため、この国の職場には「人から受けた親切を別の人への親切という形で返す」という考え方がある。キャリアで先に成功を収めた人たちは、それをコミュニティーに還元し、若い人たちを支援する。全ての起業家が、「皆が仲間だ」という姿勢から恩恵を受けられることになる。

3. 「対比」の尊重──革新性と実用性の両立

フィンランドには、両極端なものが存在する。極夜と白夜がその好例だ。この国の人たちは、一見内にこもったようでありながら、話してみると非常に親切で、人を手厚くもてなす人たちだと言われる。

控えめなことで知られる彼らだが(「フィンランド人は内気だと話すとき自分の靴を見つめ、社交的だと相手の靴を見る」という冗談がある)、同時に自国が成し遂げてきたことに対する大きな誇りを持っている。そして、さらに上を目指そうと努力する。

両極端なものを併せ持つことにより、フィンランドは非常に現実的、かつ革新的な起業家たちを生み出してきた。人口およそ600万人にすぎない同国では毎年、1万5000近くに上る物が発明されている。あるフィンランド人の起業家によれば、対比を尊重する文化が、スタートアップに機敏さと野心的な考え方を与え、「役に立たない慣習を捨てることに長けた」企業になることを助けているのだという。

編集=木内涼子

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