そのようななか、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は仮想通貨への対応に関する質問への応答として、「ビットコイン規制はECBの仕事ではない」とし、加えて「ビットコインは通貨ではなく、変動幅が大きすぎてリスクが高いし法的保護もない」と否定的な意見を述べた。
一方、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事はCNNMoneyのインタビューで、「問題は仮想通貨の国際的な規制が必要かどうかではなく、いつ規制を導入するかだ」と、規制導入は当然であるとの意見を表明している。さらに2月11日にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催されたWorld Government Summit で各国指導者が表明した「仮想通貨が多くの犯罪に利用されている」との見解にも賛同している。
加えて、米商品先物取引委員会(CFTC)のコミッショナーは仮想通貨関連企業に対して、自主規制機関(self-regulatory organization, SRO)の創設を推奨した。
こうして見ると、仮想通貨の市場・取引面での規制と監視は、ある程度世界的な既定路線となっており、仮想通貨市場は既に規制を受け入れているようにも見られる。
実際、規制はネガティブな要因と捉えられがちだが、利用者保護などを考慮すると中長期的には仮想通貨市場にポジティブな材料と考える。詐欺的な話などが横行する状況下、最低限のルールは必要だろう。自主規制団体の誕生や、当局による規制強化は必ずしも売り材料ではないことを意識しておきたい。
急速に上昇するような動きではなく、じりじりと上昇するような価格形成が見られれば、仮想通貨市場も落ち着きを取り戻し、新たな投資家の参戦も期待できよう。明確な投資尺度が存在しない仮想通貨市場では、投資家のモメンタムが何よりも重要視される。乱高下を好む投資家が存在することは十分理解しているが、新たな投資家を呼ぶためには過度な動きは避けたいところだ。
ほどほどのボラティリティ(変動率)と、良好な投資家のモメンタムが共存していれば、仮想通貨市場は緩やかな拡大・成長を続けると考える。