1月26日に発生したコインチェックのNEM流出のインパクトは衰えず、更に2月11日にはイタリアで220億円相当の仮想通貨Naoがハッキング被害に合ったと報道された。コインチェックでは2月13日より日本円での出金が可能となったとはいえ、仮想通貨へまとわりつく不安感はぬぐえていない。
また、仮想通貨テザー問題(ドル水増し保有とビットコインの価格操作疑惑が生じ米国商品先物取引委員会(CFTC)が召喚状を送付している問題)に対する投資家の感応度も依然高く、仮想通貨の下値不安の解消はまだ難しい状況にある。
ただ、2月9日には米国株式市場が再び1000ドルを超える下落となり、ビットコインも更なる下落が危惧されたが、市場は冷静な反応を見せた。
ビットコインは投資家の買い意欲が他の仮想通貨に向かったため価格はもみ合いとなっているものの、アルトコインが市場の上昇をけん引、リップルは8.4%高の0.81ドルで推移、イーサリアムは3.7%高の831ドル、ライトコインは0.4%高の147.80ドルで推移した(Coin Market Capより)。
下値を叩くような動きは回避されつつあるなか、ビットコインは15日時点で、心理的な節目である100万円を回復している。筆者は、足元高まっている規制の動きを市場が織り込んでいるのではないかと考えている。足元の各国の動きを整理してみよう。
韓国では、年明けの声明により中国のような全面的な禁止措置が懸念されていたが、仮想通貨価格の下落や投資家による反対活動などを受け、規制ではなく市場の安全管理へと方針を変え、許可制度を導入するとみられている。2018年6月に行われる統一地方選後に最終決定するようだ。
欧州では、フランスやドイツの経済省や中央銀行の高官らのグループが、変動の激しさを理由にビットコインや他の仮想通貨に関する取り締まりを要請する書簡を主要20カ国(G20)の財務相などに送り、規制強化を要望している。