アマゾンは本当に無敵? ホールフーズ在庫切れ騒動が露呈した隙

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私が「諦めるな」と主張する根拠のひとつに、最近多数のホールフーズ店舗で起きた在庫切れ騒動がある。各地の店舗で陳列棚に商品がない状態が続き、買い物客からは苦情が殺到、従業員からもいら立ちの声が上がったのだ。

この騒動の原因はホールフーズがアマゾンによる買収前に導入していた「オーダー・トゥ・シェルフ」購買システムだったとする報道もあるが、私はその見方には懐疑的だ。そうした報道はすべて店舗レベルの情報源に基づいており、流通レベルでの実態を把握していない。

私はホールフーズ利用客のひとりとして、アマゾンの買収前から同社が在庫不足の問題を抱えていたことは把握している。しかし同時に、在庫切れ問題は昨年末頃に劇的に悪化し、それ以降状況は悪化する一方だったことも知っている。

昨年11月、ホールフーズのある店舗を訪れた時、売り場に未包装の野菜などを入れる袋がひとつもなかったことに気が付いた。マネジャーに理由を尋ねたところ、袋の仕入先業者を変えた際、既存の契約を解除する前に、今ある袋の数で十分に足りるかを確認し忘れたのだとの説明を受けた。袋不足が解消したのは、数週間後のことだった。

私を含めこの業界に注目する多くの人は、アマゾンによるホールフーズ買収が同チェーンの在庫管理方法の劇的な改善につながると考えた。だがそれは明らかに間違いだった(少なくとも短期的には)。そしてこのアマゾンの失策は、同社の鉄壁の防御の中に同業他社が付け込むことができる隙があることを露呈した。

他社がその隙に付け込めるかどうかは、まだわからない。しかし、私の住むサンフランシスコ・ベイエリアでは、少なくとも1社の地元食料品チェーンが既に、アマゾンの後ろ盾を得るホールフーズを打ち負かす方法を見出した。

マリン郡で小さなチェーンを展開するウッドランズ・マーケットは、最近サンフランシスコへも進出した。同社はホールフーズ同様、高級食品を提供しているが、ここ数年間に渡り主流層を引きつけようと四苦八苦してきたホールフーズとは異なり、同社は高級食品しか扱っていない。
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編集=遠藤宗生

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