新たな幹部役職のトレンド「最高ロボティクス責任者」とは?

Goran Bogicevic / Shutterstock.com

私は最近、未来の労働力の姿を検討するプロジェクトにコンサルタントとして関わっているが、その調査対象の中に、企業によるロボット活用事例の増加がある。

私は「人の管理」に関するさまざまな問題の方に興味を引かれがちだが、ビジネスロボット工学が従来型マネジメントの枠を広げていること、その重要性が今後増していくことに疑いは持っていない。

実際ロボット工学活用の動きは、ハイテク分野のニッチなスタートアップにとどまらず、あらゆる業界の主流既存企業にも広まっている。特に、繰り返し可能で予測でき、手作業の必要がない機能は、ロボットの使用が推進されている。

ここに、ロボットの採用を進める企業を一部紹介する。

アマゾン:5年前、ロボット工学企業のキバ・システムズ(Kiva Systems)を7億7500万ドル(約870億円)で買収。現在は、倉庫補充作業の多くにロボットを使用している。

ウォルマート:店舗の棚をスキャンし、在庫と価格の管理や、誤った場所に置かれた商品の特定をするためにロボットを使用している。

アディダス:スニーカー製造工程の効率化のためにロボットを使用。

クラウンプラザホテル:ホテル宿泊客への軽食ルームサービスやアメニティーの配送にロボットを使用。

ロウズ:「ロウボット(Lowebot)」と呼ばれるロボットを、顧客向け商品検索や在庫管理に使用。

ロボットの使用により、マネジメントにはどのような影響が生じるだろうか? ロボットの主流化に伴い、上級管理職が考慮すべき重要な問題とは?

調査・コンサルティング企業のガートナーは、昨年3月の記事「The Rise of the Chief Robotics Officer(最高ロボティクス責任者の出現)」でこの問題を取り上げ、思慮に富んだ見解を示している。同記事でガートナーは「サプライチェーンに依存する業界では2020年までに、大企業の10%で人間と労働ロボットの調和を監督する最高ロボティクス責任者(CRO)の職が設けられる」と予想した。

また同社は、現在のロボット工学技術が監督者であるマネジメントを上回る速度で進化していると指摘。「ロボットの使用が急速に拡大する一方、ロボット労働力管理のための効果的な指針やプロセス、規則の作成はまだほんの初期段階にある」と述べている。

ガートナーはまた、企業でのロボット使用の普及により、マネジメントに求められるスキルも変化する可能性があると指摘。「工学、論理と問題解決、ITスキルをバランス良く備えた一方で、よりソフトな従来型マネジメントスキルへの依存度を減らしたマネジャーが、今後最も成功する可能性が高い」と論じている。

ただこの最後の部分は、私は現時点では納得できない。管理すべき人材がいる以上、従来型の「人の管理」が時代遅れになるとは考えがたい。しかし、状況が変化していることには私も同意できる。その変化の速度は、私たちが考えるよりも早いのではないだろうか。

編集=遠藤宗生

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