私は、金を使って生産的で幸せな未来を手に入れることを真剣に勧めている。達成したいことと出費には関係がないと思っていれば、それは間違いだ。
ハーバード・ビジネス・スクールやブリティッシュコロンビア大学の研究チームが米国科学アカデミー紀要(PNAS)に今年発表した論文では、ただの物ではなく、時間の節約のための商品や活動に出費した場合に幸福度が向上することが明らかになった。調査対象となった人々のうち、食事のテイクアウトや清掃サービスなど時間節約に対価を払っていた人は少数だったものの、その幸福度は比較的高いことが分かったという。
また、物や時間節約に使うため40ドル(約4500円)を与えられた人のうち、後者に出費した人はストレスが少なく、幸福感が高かった。雑務を誰かに頼むことで良い気分になるのは富裕層だけではなく、ほぼ全ての所得層に共通していた。
考えてみれば、この調査結果には納得がいく。時間節約のために金を使えば、浮いた時間を有意義な活動に使えて気分が良くなるからだ。
夕食を作る代わりにピザを注文すれば、浮いた1時間を使ってスタートアップの資金調達用プレゼンスライドを仕上げられるし、台所も掃除しなくて済む。自分で洗車する代わりに洗車場に行けば、その時間を使って部屋の片付けに取り掛かれる。月に2回清掃サービスを頼めば、恋人や配偶者とトイレや犬のケージの掃除当番を巡って言い争う時間をなくし、学生ローンの早期完済に向けた戦略会議に当てられる。
上記の例で購入しているのは、特定のサービスだけではない。こうした雑務より優先すべきことに割く時間も買っているのだ。これは、ぜいたくな投資でも多額の投資でもなく、大きな目標へと近付くための計画的な少額出費だ。金を稼ぐことはできても、自分にとって大切なことに割く時間を新たに作り出すことはできない。
2018年は賢い出費以上に、賢い時間の使い方を心掛けよう。そうすれば、来年は出費の分だけ、自分に本当に大切なことに取り組める。