7億円で落札の「平和のダイヤ」、売却益の26%を発見者に分配

Photo by Mohammed Elshamy/Anadolu Agency/Getty Images

西アフリカのシエラレオネで採掘され、これまでに見つかった中で14番目の大きさとされる709カラットの「平和のダイヤモンド」が12月4日、英国の高級ダイヤモンドジュエラー、グラフによって約650万ドル(約7億3000万円)で落札された。売却益は全て、シエラレオネと産出地域のコミュニティーのために使われる。

シエラレオネ政府の委託により競売を行ったダイヤモンド・宝石の公正で透明な取引を支援するラパポート・グループによると、売却で得られた資金は59%がシエラレオネの税収となるほか、15%がダイヤモンド産出地域の開発を担う基金を通じたインフラ開発などに充てられる。また、26%は原石を発見した採掘者たちに分配される。

シエラレオネで見つかったダイヤモンド原石の中では2番目の大きさとなるこのダイヤは今年3月、同国東部コノ地区で採掘された。発見したのは、電気や水道、病院や学校もなく、道路も整備されていない村に住むキリスト教の牧師、エマニュエル・モモーをはじめとする採掘者らのグループだ。

原石の法的所有者となったモモー牧師は、売却益を地域のために使いたいと考え、これをアーネスト・バイ・コロマ大統領に託した。今年5月11日に最初の競売が行われたが、最高入札価格が770万ドルだったことを受け、取引は不成立となった。今回それを下回る金額でグラフが落札した理由は、明らかにされていない。

世界中から入札者を募って行われた2度目の競売の費用は全て、ラパポート・グループが負担したという。同社のマーティン・ラパポート会長はこれについて、「世界で最も貧しい国の人々への支援になる」と話している。

売却益が「暮らしを変える」

ラパポート会長は発表文で、「売却益が採掘者たちに目に見える利益をもたらすことから、(同国の)開発における好循環が生み出されると期待している。より多くの採掘者たちに、発見した原石を正規のルートで販売し、国の税収を増やし、不可欠なインフラ開発の資金とするよう促すことになるだろう」と述べている。

また、モモー牧師は、「平和のダイヤモンドは私たちの村とコノ地区に浄水や電気、学校、医療機関、橋や道路をもたらし、生活を大きく改善してくれるだろう」「このダイヤモンドは、シエラレオネの発展と成長、雇用創出のための資金源となる。より良い将来を願う私たちの希望の象徴だ」と語った。

一方、グラフの創業者、ローレンス・グラフも文書を発表、次のように述べた。

「…深刻に援助を必要としている国に直接的な利益をもたらす最高の原石を落札することができた。光栄なことだ。私たちにこの美しい宝石を与えてくれる地域にお返しができることは、素晴らしいことだ」

「…平和のダイヤモンドが将来、どのような物語を伝えていくかは誰にも分からないが、今この時点では、シエラレオネの人々にとって重要な区切りとなる1ページ刻んだといえる」

グラフのダイヤモンド専門の職人たちが今後、原石を宝石に変えるための最善の方法を決定することになる。

編集=木内涼子

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