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「第四次産業革命時代」を考える

(Photo by Isaac Brekken/Getty Images)

衝撃の大統領選後、就任1年が経過したドナルド・トランプ氏の支持率は、歴代大統領の中でも最低水準の33〜34%ほどに低迷しています。彼に大統領の資質があったのか、あるいは彼の政策が適切か否か。このコラムで議論したいポイントはそこではありません。

選挙戦の前から世界中のマスメディアに批判と非難の集中砲火を浴びていた彼は、なぜアメリカ大統領に選ばれたのでしょうか。そしてなぜ今なお、圧倒的な世論の逆風の中でも権力の座に居続けられるのでしょうか。

その答えは、コミュニケーション革命にあります。

人類が最初に手にした情報のアウトプットツールは「文字」です。かつてエジプトでは、文字の読み書きを学び「書記」の仕事に就くことは、絶大な権力を手中にすることと同じ意味でした。もともと難解だったヒエログリフ(神聖文字)およびその文法は、時代の経過とともに、一般の民衆には読み書きができないよう故意に複雑化が進められたといいます。だから古代文字の解読は困難なのです。

つまり「文字」はもともと「暗号」であり、「文字」が表す「情報」とは権力そのものだったのだということがわかります。政治家は情報を独占して、都合の良い事実だけを歪曲して開示することで、大衆を思うがままにコントロールしてきたのです。

その構造は、現代に至るまで大きく変わることなく受け継がれてきました。時の権力者がメディアに介入して情報統制してきた事例は、世界中のあらゆる国と時代に見つけることができます。

たとえば日本の江戸時代においても、幕府の祖である徳川家康を神格化したり、朱子学の思想を反映させた大衆文学を流通させることによって、主君や年長者に従う美徳を奨励し、政権の安定を図っている様子が見てとれます。新聞やラジオ、テレビの時代でも、大筋の流れは変わりません。

情報の伝達が、限られた「1」から大多数の「n」に対して一方的に伝えられてきた「1対n」の時代では、一部のエリート層(政治家とそれを取り巻く権益者層)が、大多数の大衆を適宜コントロールする構造が当たり前に機能しました。権力は、情報の隣にあったのです。

しかし、こうした権力構造は近年の急激なICTの発展によって大きく覆されつつあります。ツイッターやユーチューブに代表される「民間メディア」が、無数の個人が誰の許可を得ることなく情報発信できる自由を創造したのです。無数の「n」が、無数の「n」に情報を伝達する時代。かつての権力者が、個人のスマートフォンと、サイバー空間を行き交う無限の情報をすべて管理することは不可能となりました。

さぁ、現代に話を戻しましょう。

おもしろいのは、トランプが大統領選挙のために集めた資金は130万ドル(約43億8000万円)と非常に少額だったこと。これはヒラリーの4200万ドルに対してわずか32分の1に過ぎません。

ただしメディアに露出した時間で言えばどうでしょうか。トランプは自分のお金をほとんど使うことなく、まわりが勝手にタダで宣伝してくれたおかげで勝利しました。ちょっと過激なことを言っただけで、世界一の広告会社であるフェイスブックや世界一の映画会社であるユーチューブなどが、情報拡散を全力でサポートしてくれたのです(正確には、そのユーザーが、ですが)。

文=齋藤ウィリアム浩幸

 

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