衝突時におけるドライバーの安全性が最も高かったのは、4点を獲得したトヨタ「ETIOS」。最も低かったのは、0点のチェリー「QQ3」だった。QQ3はドライバーの頭や胸に対する保護機能が十分でなかっただけでなく、エアバッグも作動しなかった。また子供の安全性という点でも評価は0点だった。
南アフリカ自動車協会(Automobile Association of South Africa)とともにこの試験に取り組んだロンドンに拠点を置くNPO団体のGlobal NCAP(Global New Car Assessment Program)は、こうした安全性の違いは車両構造に由来すると結論づけている。交通事故が起きた場合、評価が最低だった車では「命にかかわるケガをする場合もある」と同団体は述べている。
「アフリカ初の衝突テストにおいて、4点を獲得した車があったのはよいことです」と、Global NCAPの事務総長ダヴィッド・ワードは声明の中で語っている。「しかし、0点の車があったのは残念でした。こうした結果は、南アフリカのような国で国際基準の安全テストを行うことの重要性を示しています」
そのほかにテストされたモデルは、フォルクスワーゲン「Polo Vivo」、ダットサン「Go+」、ルノー「Sandero」だった。5種の売上の合計は、昨年の南アフリカでの新車販売において65%を占めており、Global NCAPは今回のテストは同国の車の安全性を向上させるうえでも重要なものだったと強調している。
子供の安全性は、ドライバーのそれとは異なる基準で評価されており、衝突時における保護機能に加えて、車メーカーが推奨するチャイルドシートがうまく使えるかどうかが評価された。子供の安全性で4点を獲得したのは、ルノー「Sandero」だった。
FIA財団と慈善財団ブルームバーグ・フィランソロピーズにサポートされるGlobal NCAPは、国連が定める基準に基づいて世界の新車の安全性を評価する団体で、それぞれの市場で消費者に対して情報を提供している。
Global NCAPは、世界中の車メーカーに対して、国連が定める最低限の安全基準をクリアするために取り組むよう求めており、そうした努力が行われることによって、安全評価0点の車がなくなることにつながると考えている。
「消費者はどの車を買うかを判断するために、わかりやすく、世界の基準と比較できる衝突テストの情報を求めています」とワードは言う。「だからこそGlobal NCAPは、南アフリカに衝突テストを導入することをサポートしたのです」