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国境は知っている! 〜ボーダーツーリストが見た北東アジアのリアル

ウラジオストク国際空港で平壌便を待つ北朝鮮の労働者たち。彼らは日焼けして赤ら顔だが、同乗するビジネスマンらしき姿も。共通しているのは身なりが黒尽くめなこと。

国際的な制裁が強まるなか、海外に出国した北朝鮮の人たちの境遇とはどのようなものなのだろうか。

今月上旬から中旬にかけて極東ロシアのウラジオストクに滞在した。日本海に面したこの都市は成田からのフライト約2時間の距離で「日本にいちばん近いヨーロッパ」といわれるが、日本も含めた北東アジアの現在を象徴するコスモポリタンシティというもうひとつの顔を持つ。

人口約60万人の大半はロシア系住民だが、郊外の日用生活品を扱う巨大な市場(ロシア語で中国人を意味する「キタイスキー市場」と俗称される)には中国商人の姿が多く見られる。ソ連時代から労働力として送り込まれた中央アジア系移民も暮らす。

さらには、2010年頃から年間20万人以上の中国人観光客の姿を見かけるのも日常の光景だ。多くは海を見たことがない内陸住民である彼らは、陸続きの国境を団体バスで越えて美しい港町を訪れる。琥珀などの宝飾品をはじめとしたロシア土産の購買力に地元住民も最初は驚いたが、彼らの国際的評判と同様、必ずしも好感されていないと聞く。

そこに日本より早い2014年にビザなし渡航が可能となった韓国人観光客が加わった。彼らは中国人と違い、団体客だけでなく、若い女性のふたり組や小グループが目につく。今年7万人以上の韓国客がウラジオストクを訪れるといわれている。

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ここ数年増えている韓国人観光客は圧倒的に女性が多く、ヨーロッパ的な街並みやカフェ、レストランなどで旅を満喫している。

観光客として少数派なのは日本人だが、今年8月のビザの緩和化で昨年比3倍増の勢いで増えている。この町では新参者だ。

一方、極東ロシアに多くの北朝鮮労働者がいることは知られている。今回いくつかの場所で彼らの姿を見かけた。

ひとつは空港だ。ウラジオストクと平壌は高麗航空が週2便運航している。利用するのは、ロシア人ビジネスマンや観光客と北朝鮮の人たちだが、さすがに今年に入って前者は減っているという。ウラジオストクの北100kmに位置する沿海地方の物流拠点であるウスリースクは北朝鮮と結ぶ国際列車の起点であり、同駅で彼らの姿を見かけることも多い。

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ウラジオストク国際空港で見かけた平壌便を待つ北朝鮮の労働者たち。

実際、北朝鮮労働者の多くはウラジオストク市郊外や沿海地方内陸部の建設労働現場や水産加工工場などにいて、市内で姿を見かけることはそれほど多くない。その一方、彼らとはまったく異なる種類の北朝鮮人がいる。

市内の大学に所属する留学生だ。彼らの多くは平壌から来た領事館関係者や建設現場の管理者など幹部の子弟で、労働者とは明らかに階層の異なる人たちだ。8割は男子で、ウラジオストク留学組が増えているという。

写真=中村正人

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