Oculus Goの価格は199ドルで、来年初旬から出荷が開始される。従来のモデル「Oculus Rift」(399ドル)はPCとの接続が必要だったが、Oculus Goは単体で使用可能な点が大きな違いだ。フェイスブックはサムスンと合同で開発した「Gear VR」(129ドル)の普及も推進しているが、使用に際してはサムスン製のスマホが必須となっている。
「Oculus Goは単体でVR体験が可能な全く新しい製品だ。PC接続やスマホとの連携が不要で、スタンドアローンで使用できる。Oculus Goは一般消費者らに最も手軽なVR体験をもたらすことになる」とザッカーバーグは、Connectカンファレンスの場で述べた。
Oculus Goは解像度2560x1440のスクリーンを搭載し、オーディオ機能も内蔵しておりヘッドホンなしで使える。フェイスブックは今後、アプリ開発者らにこのデバイス向けのアプリ開発を促していく。
ザッカーバーグはVRがスマートフォンに続くプラットフォームになると見据えている。現状ではサムスンのGear VRが最も人気のデバイスとなっており、VRアプリのダウンロード数は累計で1億回を超えたと発表された。
フェイスブックが想定するVRの利用ケースは多岐にわたる。教育分野や医療分野での利用も想定され、反射神経を損なった患者が、VRを活用して神経機能を回復させる動画も紹介された。さらに、VRを用いた会議など、ソーシャル面での利用も念頭に置いている。
また、歩行が困難な高齢者がVRで観光地を訪れる動画も紹介された。ゲーム等のエンタメ分野の利用も今後さらに広げていく。フェイスブックは新たなライブ配信プラットフォーム「Venues」を立ち上げ、VR空間でスポーツ観戦やコンサート体験を可能にする。
「VRはこれまで、人々を世間から隔離するものとみなされてきたが、それは間違いだ。進化したVR体験は現実世界の限界を突破し、人間をさらに自由にするものになる」とザッカーバーグは述べた。
ザッカーバーグがVRへの注力を開始したのは3年前のことだった。フェイスブックは当時まだ製品をリリース前だった、オキュラスを20億ドル(約2200億円)で買収した。昨年のカンファレンスで同社は、2億5000万ドル(約280億円)をVRコンテンツの開発に注ぐと宣言した。同社はそれ以前にもVRコンテンツ支援に2億5000万ドルを注いできたが、それと同じ額の投資を表明した形だった。
また、VRの教育コンテンツ開発にも1000万ドルを投資すると述べていた。フェイスブック傘下のオキュラスは、エヌビディアやAMDと連携し、Oculus Rift専用の安価なコンピュータの開発も進めている。