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2017.09.29 12:00

バンダイの職人が本気で開発 「ドラえもん×プラモデル」誕生の裏側

ドラえもん×プラモデル

ドラえもん×プラモデル

ドラえもんについて説明する必要なんて、もはや一切ないはずだ。丸くてちょっぴりドジな猫型ロボットは、どの年代からも幅広く愛されている。

そんなドラえもんのプラモデルが9月29日、東京ビッグサイトで開催されている「第57回全日本模型ホビーショー」で披露された。名前は、「Figure-rise Mechanics ドラえもん」。ガンプラで有名なバンダイが長年積み上げてきた技術力を結集した渾身の「ドラえもん×プラモデル」だ。



このプラモデルの最大の特徴は、ドラえもんの内部構造が忠実に再現されていること。

「ドラえもんの内部構造?」と思う読者もいるかもしれないが、実は小学館が発行するドラえもんの資料集『決定版 ドラえもん大辞典』で設定が公表されている。「ペタリハンド」や「ウルトラ・スーパーデラックス・コンピュータ」など、未来のテクノロジーを自らの手で組み上げることができるのだ。

今までテレビ越しに見ていたドラえもんが、手元で完全再現される。今回、異色のコラボレーションとも言える「Figure-rise Mechanics ドラえもん」の製造過程を知るべく、バンダイの工場を訪れた。

バンダイのプラモデルを支える職人の業



2006年に新設されたバンダイの工場はJR静岡駅からタクシーで10分ほどの場所にある。外装にはガンダムが大胆にあしらわれており、一見、工場だと思えない。

なぜ静岡県に工場を構えたのか──実は静岡県にはバンダイだけでなく、ミニ四駆ブームを巻き起こした「タミヤ」や戦闘機で有名な「ハセガワ」など、日本有数のホビーメーカーが集結。経済産業省が発表した「工業統計調査」によると静岡県のプラモデルは171億円の出荷額を誇り、全国シェア9割を占める。

また、毎年5月に開催される「静岡ホビーショー」には世界各国からプラモデルファンが足を運ぶほどで、まさにプラモデルの聖地なのだ。


エントランスにズラッと広がる主力商品。放映順に並べられたガンプラから伝わる技術の進化と歴史の積み重ねはファンなら感動するはず……!

早速、製造工場の内部へ。工場を案内してくれたのは、バンダイシニアマイスターの志田健二。1stガンダムに登場する技術士官ティム・レイ(アムロの父親)にどことなく似た、プラモ好きの間では有名な人物だ。

まず出てきたのが、長辺30cmくらいの重厚な直方体。これはランナー(枠)から切り離される前のプラモデルの原型となる、金型。見慣れたプラモのパーツは、これを機械にセットすることで製造される。金型を開けてみると……。



ドラえもんの金型があらわれた。



この時点でドラえもんの顔だとわかる。今回のドラえもんの顔は、通常のプラモデルと違ってツヤのある質感が出るよう、金型にも少し特殊な加工が施されている。



機械でアウトプットした金型の細かいアラは、顕微鏡で確認し、丁寧に削り取る。バンダイのプラモデルの大きな特徴は、接着剤を使わなくてもパーツをはめ込んでいくだけで組み立て可能なこと。つまり、金型にズレがあればプラモデルが組みあがらなくなることするあるのだ。

工場の奥に進むと、金型からパーツを製造するマシンが。金型をセットすると機械がスキャンをスタート。駆動音が鳴り響く……!


金型をマシンにセット。


ガンダムの一部だと言われたら信じてしまいそうな精巧な造りだが、これもドラえもんのパーツだ。

そうして出てきたのが、プラモ好きなら見覚えのある物体……! 機械内部で熱は取り払われるのだが、出来立てホヤホヤのパーツは手に取るとまだほんのり暖かい。

ちなみに、写真を見ればわかるように多色成形という技術により、機械で製造される段階で既にランナーには彩色が施されている。初心者には難易度の高いペイントを一切しなくても、組み立てるだけで原作のカラーリングを忠実に再現できるのがバンダイのプラモデルの魅力だ。
次ページ > 「自分の手でドラえもんを造る」感覚を

編集=野口直希 写真=小堀将生

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