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Roman Bodnarchuk / shutterstock.com

米国勢調査局は9月12日、「米国の所得と貧困」に関する年次報告書を発表した。米国では2016年、貧困率が前年から0.8%ポイント低下、12.7%となった。これは朗報だといえる(ただし、それでも貧困者数はおよそ4060万人だ)。

家計所得の中央値は前年比3.2%増となり、2015年の5万7230ドル(約631万円)から5万9039ドル(約651万円)に増えた。また、医療保険に加入していない人の割合は、9.1%から8.8%に低下した。

さらに、世帯所得のみから貧困率を割り出す際の問題点を補うために政府が採用している「補完的貧困値」で見ても、貧困率は14.5%から13.9%に低下している。

「貧困」の定義の問題点

貧困者数に関する調査については、長年にわたって結果の正確さが問題視されてきた。統計に用いるのはサンプル(約9万5000世帯)であり、例えば税務記録に基づく分析結果などとは異なる。貧困の唯一の尺度として世帯所得に頼るのは、あまりに短絡的だとの批判もある。

米国内では確かに物価が下落しているが、不動産や医療、教育にかかる費用は増加している。貧困世帯の子供が大学を卒業することがどれほど困難か(大学を卒業する人の数は、富裕層では貧困層の8倍)、学費負担の影響の大きさ、医療費の増加の仕方を考えれば、世帯の消費支出を把握するだけでは何を予測するにも十分だと言えるだろう。

「補完的貧困値」は、公式な貧困者支援の対象とはならないものの、「低所得世帯・低所得者を支援するための政府プログラムを利用している人」を考慮し、国勢調査局が発表している数値だ。つまり、所得が公的貧困ラインを上回っていても、政府の支援が必要な世帯はあるということだ。

この補完的貧困値に基づいて考えると、2016年の貧困率は13.9%。2015年から0.6%ポイント低下しているものの、公式な貧困率をかなり上回っている。

医療費に絡む危機的問題

所得が貧困ラインを下回る世帯のうち、医療保険に加入している世帯の割合は、83.7%だ。貧困ラインを400%上回る世帯の医療保険の加入率は95.6%。そうした中で、トランプ政権は医療保険制度改革法(オバマケア)で定められた保険会社への補助金を突然、大幅に削減すると発表した。

グループ別に見た貧困

貧困率は人種によって大きく異なる。貧困ライン以下で生活する白人の割合は8.8%。黒人とヒスパニック系の割合はそれぞれ、22%、19.4%となっている。アジア系は10.1%だ。

また、人種を考慮しない場合の女性の所得は、男性の約83%。どの年齢層で見ても、貧困ライン以下で暮らしている女性は男性よりも多い。さらに、婚姻の有無を考慮すると男女差は一層拡大する。配偶者どうしが同居する世帯の貧困率は5.1%。だが、世帯主が独身男性の場合は13.1%、独身女性の場合は26.6%になる。

貧困も「循環」

貧困率は歴史的に見て、長期にわたって上昇を続けたことも、下落し続けたこともない。米国では1959年以降、貧困率は最も低かった年に約11%を記録。一方で1980年代以降は、何度か15%に達している。

最新の報告書では13%を下回ったが、再び上昇に向かう時期が来るのはそれほど先のことではない可能性がある。遅くとも数年後には、再び上昇し始めるかもしれない。

編集=木内涼子

 

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