イノヴィズは今回の調達資金により、自動運転車向けの低コストのLiDARセンサーの製造を開始する。自動運転車分野では先日、カナダのLeddarTechも1億100万ドル(約109億円)の資金を調達した。
LiDARセンサー分野では現在、米国のベロダイン(Velodyne)が主要なポジションに立っている。イノヴィズが製造するのはベロダインよりも小型で価格が安く、イメージ認識能力に優れたセンサーだ。ベロダインの3Dビジョンセンサーが現在、数千ドルの価格であるのに対し、イノヴィズの製品は200ドルで販売を開始し、「将来的には100ドルまで低価格化する」とイノヴィズCEOのOmer Keilafは述べている。
自動運転車の製造にあたり、道路状況を把握するセンサーは必須のテクノロジーだ。この分野ではベロダインが10年以上の歴史を持ち、2018年の終わりまでに年間100万台のデバイスを製造しようとしている。
イノヴィズは小型で車体に組み込めるLiDARを完成させた。同社の小型センサーを4つから5つ、車体に組み込めばベロダインの製品と同等の360度のセンサリング能力を実装できるという。
Keilafは「詳細はまだ明かせない」と述べたが、イノヴィズの製品の認識能力は既存のLiDARセンサーを上回るという。イノヴィズは2016年1月に創業された企業で、元イスラエル軍の関係者らが中心となって立ち上げた。
インテルは1.7兆円でイスラエル企業を買収
この分野ではカナダのケベック本拠のLeddarTechも9月7日、1億100万ドルの調達を発表した。LeddarTechにはデルファイやイタリアの自動車部品メーカーのマニェーティ・マレッリ、ドイツのオスラムも出資を行っている。LeddarTechは自動運転車向けのLiDARのみならずドローン向けのセンサーも開発している。
イノヴィズは既存の自動車に搭載可能な第一弾の製品「InnovizPro」の製造を2018年から始動し、2019年には自動運転車向けに最適化されたビルトイン型の製品「InnovizOne」の製造を開始。2020年頃までに市場に投入したいとKeilafは述べた。
自動運転車向けのセンサー分野では今年3月にインテルが、イスラエルのモービルアイ(Mobileye)を150億ドル(約1兆7000億円)で買収して以降、イスラエルがこの分野の最前線とみなされるようになった。
LiDARセンサー分野のイスラエル企業としては、他にOryx Visionらがあげられる。
今回のイノヴィズの資金調達に、自動車部品分野で競合するデルファイとマグナの2社が関わったことは異例の事態とも言える。これについてイノヴィズCEOのKeilafは「彼らにとってより重要なのは、今後開発が進む自動運転関連のテクノロジーの未来にアクセスを持つことだ」と述べた。