科学誌「サイコロジカル・サイエンス」に掲載された米バージニア大学とコロンビア大学の研究結果によると、実施した6件の調査から、経済的な苦痛は身体的な痛みを引き起こすと同時に痛みに対する耐性を低下させ、OTC薬(一般用医薬品)の鎮痛剤の購入につながっていると見られることが分かった。
3万3000人に関するデータを見直したところ、2008年には世帯を構成する成人の2人がいずれも失業していた場合、少なくとも成人の1人が就業していた世帯に比べ、OTC薬の鎮痛剤の購入に充てる金額が20%多くなっていた。また、インターネットを通じて実施し、187人から回答を得た調査でも、失業と家計の問題に関する悩みが身体的な痛みと関連していることが確認された。
リウマチと変形性関節症が専門の医師によれば、お金の問題が原因の慢性的なストレスは、腰や肩、肩の痛みにつながるという。失業や多額の借金といったお金の問題は私たちの自尊心を損ない、それがうつ病の原因になる可能性がある。強いストレスを長期間感じ続けると、身体的な問題は蓄積されていくことになる。
ある資産運用の専門家は、「当初は歯を食いしばっていただけでも、それが筋肉の緊張とエネルギーレベルの低下につながり、最終的には心臓発作や高血圧、免疫不全につながる可能性がある」と指摘している。
「私たちは健康でなければ、働いて貯めたお金を使って楽しむことができない。お金がなければ、健康なうちにやりたいことに挑戦することもできない」