仮想通貨についても同様だ。例えばビットコインは先ごろ史上最高を更新したが、それに何か意味があるのだとすれば、その意味とは何だろうか?──私たちはそう考える。世界には現在、800種類以上の仮想通貨があるが、私たちはそれらの仮想通貨についても、何らかのガイダンスを必要としている。
ビットコインの価格は米国や世界全体の経済情勢の先行きに対する全般的な不安や不透明感を反映しているとの解釈が可能だ。現在のところ、企業の業績は比較的好調で、株式市場も堅調だ。つまり、ビットコインに投資する人たちには、投資しない人には見えない何かが見えていると考えられるかもしれない。
取引方法に関して数えきれないほどの懸念事項が残されている仮想通貨への投資には、慎重になるべき理由が多い。ブルームバーグは先ごろ、次のように報じている。
「値動きの大きさと価格の上昇に魅力を感じ、投資を行う人たちがいる。だが、一方で最大規模の金融機関は関与に消極的だ。流動性に関する懸念が高まるのは、そのためだ」
5つの重要事項
仮想通貨への投資を始めるなら、その前に次の5つの点について考えてみる必要があるだろう。
・価格は何に基づいているのか?
仮想通貨の価格を決める暗号を、あなたは理解しているだろうか?──分かっている人は、ほとんどいない。投資を行うには、その通貨の価値がどのように評価されているのか、どのようなテクノロジーが関わっているのか、といった背景に関するより多くの情報が必要だと考える人も多いはずだ。
・比較のためのベンチマークはあるか?
株価については「ダウ工業株30種平均」や「S&P 500種株価指数」など、何十年も前から使われてきた数多くのベンチマークがある。それらの指標によって、私たちは現在の株価の相対的な水準を把握することができる。だが、歴史の浅いビットコインには比較を可能にするツールがほとんどない。
・ビットコインに投資する理由は?
積極的な取引が行われている一方で、仮想通貨はほとんど規制されていない。この状況が近い将来に変わる可能性はあるが、今すぐということにはならないだろう。また、仮想通貨はさまざまな方法で操作される可能性がある。退職後のための資産形成には不向きといえるかもしれない。
・仮想通貨がヘッジになる可能性は?
金などの貴金属は伝統的に、インフレヘッジやドル下落に対するヘッジとなってきた。物価が上がると、金の価格も上昇する。だが、インフレ率が低く、ドルが比較的強い現在、ビットコインは効果的なヘッジとはいえないかもしれない。どちらかといえば、(ビットコイン投資の人気は)「不安指数」と呼べるものかもしれない。
・ビットコインの弱点を理解しているか?
取引されるその他のものと同じように、ビットコインの価格も上下する(それも大幅に)。数年前には価値の90%以上を失った。安定性を望む人にとっては、ポートフォリオに加えたいものではないはずだ。
仮想通貨に投資するとしても、多額の投資は避けることだ。ポートフォリオに占める割合は、10%以下にしておくべきだろう。長期的なパフォーマンスについて、理解されるようになるまでには時間がかかる。慎重な姿勢を保つのが最善の策と考えられる。