衣食に劣らず住に凝る アルマーニに見る「イタリアらしさ」

ミラノにあるアルマーニ/カーザの旗艦店の内観。

ミラノの街を歩いていると、そこかしこにジョルジオ・アルマーニの存在を感じる。ジョルジオ・アルマーニはミラノ・ファッション業界の顔役であり、齢82歳にしていまだに現役。デザイナーとしてクリエイションの最前線に立ち続ける。

彼はファッションだけでなく、ライフスタイル全般をデザインしていることは意外と知られていない。ミラノのファッションエリア、マンゾーニ広場には「アルマーニ ホテル ミラノ」があり、「アルマーニ/リストランテ」も展開。さらには世界中で高級レジデンスを手掛けている。

多才にしてパワフルなジョルジオ・アルマーニという人物像を知りたいのなら「アルマーニ/カーザ」が最適だ。このホームコレクションは、彼自身が理想としているインテリア空間をつくるためにデザインした家具や照明などを展開しているので、“ジョルジオ・アルマーニの暮らし”の一端を感じることができるからだ。

今年はミラノにアルマーニ/カーザの旗艦店をオープンさせたが、そこにはオープニングパーティが始まる直前までレイアウトを直すジョルジオ・ アルマーニの姿があった。そのディテールへのこだわりは、家具や照明にも投影されている。 


(左)1982年にジョルジオ・アルマーニがデザインしたランプは、その後アルマーニ/カーザのシンボルに。今年は旗艦店のオープンに合わせて50個のみ限定販売される。634,000円。(右)スリットから柔らかな光を放つ照明「MIYA」 309,000円

ファッショナブルなコルソ・ヴェネツィア通りにある新店舗は、大きな窓から外光を取り入れた4フロア構成。素材の質感やディテールがしっかり見えるように、ゆったりとした配置を心掛けている。モダンになりすぎない、シンプルでプレーンなデザインが空間に落ち着きを与えており、ラグジュアリーでありながら心地よい。

「この新しい店は、私の家全体のコレクションを 展示する場所といっても過言ではありません」と ジョルジオ・アルマーニは語る。なるほど、彼の邸宅に招かれると、こういう光景が広がっているのか......。などと仮想体験だって楽しめる。

日本では衣食が足りてから住に凝る。しかしイタリア人にとっては、衣も食も住も全てが均等に重視すべきものである。ジョルジオ・アルマーニはそれを、完璧な形で実践しているのだ。


34年にピアチェンツァで生まれたジョルジオ・アルマーニ。75年に自分の名を冠したブランドを立ち上げ、ファッション界に旋風を起こす。

文=Forbes JAPAN編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.36 2017年7月号(2017/05/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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