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彼を撮影したのは、スタジオとは別棟にある同社のミーティングスペース。

建築家、デザイナーのピエロ・リッソーニは、忙しい毎日の中で、本当の豊かさを見つけた。

イタリアで最もアポイントを取りにくい建築家/デザイナーといわれるピエロ・リッソーニ。ミラノサローネでも数多くのプロダクトから作品を発表しており、さらには建築家としても世界中でプロジェクトを進行中。とにかく多忙な男であるが、本人はいたって平然としている。

「ハードな仕事の後に、ご褒美として豪華なディナーを食べるというのは感心できない。それは本物でありません。自分は自分でしかないのだから、仕事とプライベートに境目をつくる必要はない。私は建築家であり、オフィスのボスであり、父でありお爺ちゃんでもある。普段の何気ないこと、例えば散歩中に花を買うことだって、何かを考えて行動しているはずですし、その全てがクリエイションの源に繋がっているのですから」

そんな彼が、1986年からアートディレクターを務めているのが「ボッフィ」。34年に創業し、キッチンやバスなどに特化したハイエンドブランドである。ミラノサローネの主役となるのは家具や照明だけでなく、実はキッチンやバス、トイレへの注目も高い。ミラノの好感度エリアにあるボッフィのショールームは、連日超満員で、入場制限を行うほどである。

「イタリアでは、キッチンはみんなが集う大切な場所であり、“生活の中心”となるところです。そしてバスルームは生活の質を高める場所です。どちらもリビングや寝室と同様に、手を抜いてはいけないし、機能性だけでなく心地よさを意識するべき。クオリティ・オブ・ライフを高めるためには、単にグッドデザインだけではダメなのです」。

心地よい暮らしを作るためのヒントは、あらゆるところに存在しているのだ。

インタビューを終え、ポートレート撮影をしている彼に、ひとりの経営者として日本の若き企業家たちにメッセージはありませんか? と問うと、しばし沈思黙考してから口を開いた。

「“金持ち”になることが幸せではありません。情熱をもって立ち向かえる仕事があることだけでも不十分です。大切なのは、その仕事に責任を持つこと。責任感の無い人に将来はありません」

長らくデザインと建築の最前線に立ち続けている男の金言である。


ピエロ・リッソーニ◎建築家、プロダクトデザイナー。1956年、イタリア・ブリアンツァ生まれ。ミラノ工科大学建築学科を卒業し、スタジオ・リッソーニを設立。建築やインテリア、さらにはグラフィックデザインなども手掛けており、一貫したイメージつくりに定評がある。

edit&text by Tetsuo Shinoda photograph by Mitsuya T-Max Sada

 

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