楽天も出資の「中東のウーバー」Careem創業者が描くアラブの未来

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SheikhaとOlssonはマッキンゼーにコンサルタントとして勤めていた頃、各自の専属ドライバーを与えられてはいたが、約束の時間に運転手が現れず、道を知らない兄弟や親戚がやってくることも度々だった。「支払いは現金のみ。クルマに乗る度に値段交渉をするのも骨の折れる作業だった」とSheikhaは当時を振り返る。

ライドシェアでアラブ社会に革命をもたらそうという二人の思いがCareemを生んだ。Careemはアラビア語で気前の良さを意味する言葉だ。ドバイの企業向けの配車サービスとして始動したCareemは、徐々に個人ユーザーの支持を獲得し、空港への送迎に使われるようになった。子供を学校に送る主婦層の利用も広がり、Careemはコンシューマー向けサービスとしてのポジションを確立した。

Careemが最初に直面した課題は、ドバイではグーグルマップのカバー範囲も限られていることだった。これに対処するため従業員を小さな町に派遣し、独自のマップも作成した。Careemは今では地図製作の専門チームも編成し、ロケーション情報の蓄積を行っている。「グーグルやノキアの地図は偉大な発明だが、アラブでは役に立たないことも多い」とSheikhaは言う。

ウーバーとCareemの最大の違いは、Careemが地域に根ざしたサービスを目指している点だ。例えるならば中国におけるDidiや、インドにおけるOlaのように、シリコンバレーで生み出されたアイデアを地域にふさわしい形に適用していく事が、Careemが長期的視野で描いているゴールだ。

編集=上田裕資

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