精神医学誌「トランスレーショナル・サイキアトリー(Translational Psychiatry)」の電子版に6月20日に発表された論文によると、父親の年齢が高い方が、息子は(デジタルテクノロジーなど特定の分野にマニアックな関心を持つ)「ギーク」に育つ可能性が高いことが分かった。
つまり、6月上旬に56歳で父親になったばかりの米俳優ジョージ・クルーニーの息子は、間違いなくギークになるということだろうか?
英国のキングス・カレッジ・ロンドンとブリストル大学、米ニューヨークのマウントサイナイ・アイカーン医科大学の研究者らは、英国で長期的に実施されている「双生児初期発達研究(TEDS)」の参加者のうち、12歳の6234組の双子(1万2468人)について調査を実施。独自の指標「ギーク・インデックス(GI)」を用いてそれぞれのギーク度を調べた。
GIは「知性による孤立」「専門知識と社会的能力の欠如によってレッテルを貼られる」「非常に理知的でありながら人付き合いが下手」「特定の対象への過剰な関心」などを評価基準としたもの。指標の名項目の中には、名称を「過小評価されている」「素晴らしい」などと置き換えられるものもあるだろう。
研究チームによると、この調査で確認された主な点は、「息子が生まれたときの父親の年齢が高いほど、12歳の時点での息子のGI指数は高く、16歳のときの学校の成績が良かった」ということだ。関連性や相関関係が必ずしも因果関係を意味するわけではないが、若いギークたちが将来を担っていくことを考えれば、子供を持つ時期が遅れた男性たちにとって、この結果は朗報だといえないだろうか。
こうした結果の理由として考えられるのは、父親がギークなら息子もギークになりやすいということだ。ギークになることとの関連性があると見られる遺伝子は特定されていないが、過去の研究の中には、数学的能力は遺伝するとの見方を示すものもある。また、両親がともにギークな場合は、教育熱心で、子供がギークになるような育て方をするということもあり得る。
また、ギークな男性は子供を持つ時期が遅い傾向があることも、理由に挙げられるかもしれない。ギークたちには恋愛においても性的な関係においても、晩生な男性が多いと考えられる。
もう一つ考えられる理由は、年齢が高くなってから子供を持つ男性たちはすでにキャリアを確立し、自分自身に対する満足感などもあり、時間的な余裕や精神的なゆとりもある場合が多いということだ。それが息子たちに、ギークが育つ環境を与えることにつながるとの見方もできる。
一方、両親の年齢と娘たちのギーク度との間には、関連性が確認されていない。これは、女性のギークさの特徴に関してはほとんど研究が行われておらず、適切な評価もなされていないことが原因として挙げられる。今回の調査に採用されたGIは、女子に関する評価には適当だといえない可能性がある。
いずれにしても、ギークな息子を持つ準備はできているという男性は別として、まだ父親になるのは早いと考えている人、理想のパートナーにまだ出会っていないという人は、待つことにメリットがあるかもしれない。