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港区で美容室業に携わりながら、美容による途上国のイノベーションを研究中。

Shutterstock.com

毎年、この時期になるとUV対策がいつにも増して話題となる。特に美容業界では「美白」がひとつの産業となっており、白くなるというより、日焼けせず白いままをキープするという大きなマーケットがある。というわけで、日差しが強くなると、UV対策が儲かると同時に、美白関連商品も盛り上がってくる。

紫外線が体に悪いとか肌あれを起こすとか、もともとはそういった病理学的な要因から、消費者の日焼け対策の意識が高まってきた。最近ではこの傾向が進み、肌に限らず、髪の毛が焼ける、目が焼ける、と対象が拡大。さらには体が疲れる、老化する……と“日焼け”が細分化されている。

かつて、ヨーロッパでは日焼け対策は盛んではなかった。コーカサス系白色人種は、日焼けしても肌が黒くなりシミになりにくいということで、問題意識が薄かったからだ。赤くなったりそばかすのようなシミになる人はいるが、アジア人のように真っ黒にはなりにくかった。これは紫外線対策として肌に存在するメラニン色素の関係だが、科学的な話は専門家にお任せて、「日焼けと階級制度」についての話をしよう。

日焼けは富裕層のたしなみ?

封建社会がベースのヨーロッパ諸国には、21世紀になっても見えないながら階級制度が存在している。いわゆる富裕層は美意識が高い。お金をどう活用するか、お金をもっていることをどう表現するのかが、いつの時代も富裕層の課題である。豪華な家に住む。豪華な車にのる。豪華なアクセサリーをつける。実はその延長に“日焼け”の概念がある。

緯度が比較的高いヨーロッパでは、日焼けできる人はすなわち「日焼けできる場所にもセカンドハウスがある」「日焼けするほど時間に余裕がある」というイメージだ。ネイル同じで、ネイルが伸びて綺麗にケアされている人は「家事をしなくてよい人」であり、金持ちの象徴の一つとなっている。富裕層の女性に対してバケーションを売り込むのも、ネイルを売り込むのも同じマーケティングの観点だ。

ところが、最近の美白対策の影響でサンベイジング(日光浴)がウケなくなっている。モナコでも日光浴は「ちょっとねぇ…」と言われる文化になってきている。これは明らかに世界的にUVに対する理解が進んできた証拠である。

しかし、ビジネスは新しい形を誕生させる。

日本と違ってヨーロッパでは、日焼けした色、簡単にいえば土色のようなメイクアイテムが大手メーカーから販売されているのだ。実際に日焼けをしては困るが、バカンス風情を出すにはぴったりである。日焼けしにくい色素の人でも日焼けしたような感じに仕上がる優れもので、UV対策機能も備えている。こんな商品も日本にいつか登場するのかもしれない。

日本のUV対策のはじまり

ところで、今となっては美白が盛んな日本だが、そもそもは日焼けを歓迎する文化だった。「夏には黒くなる。それでも強く、若い肌」なんてイメージが近年まであった。大手の化粧品会社が初めて海外撮影したポスターは「夏は日焼けしよう」というもので、昭和世代の海水浴では綺麗に焼けた肌が男女とも“モテ”のバロメーターであったのが懐かしい。

文=朝吹大

 

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