別の例としては、携帯の使用と運転の関係を調べたユタ大学の調査で、携帯をいじりながらの運転は、米国での血中アルコール濃度法定上限の0.08%であるときの運転と同程度だということが判明している。ハンズフリーの通話も、携帯操作と同程度の注意力低下につながる。集中していない運転者は運転速度・ブレーキを踏む速度が遅く、車間距離が不安定だった。
また、私たちの脳は一度に1つのことに集中するように作られていることを示すさらなる証拠として、悪名高い「ゴリラ実験」がある。研究者のクリストファー・チャブリスとダニエル・シモンズが行ったものだ。
実験の参加者はバスケットボールの動画を見せられ、その中でボールがパスされる回数を数えるよう指示された。この動画では途中でゴリラの着ぐるみを着た人が紛れ込み、胸をたたいて立ち去るが、参加者の50%はゴリラに気づかなかった。
この現象は「非注意による見落とし(inattentional blindness)」、あるいは「知覚的見落とし(perceptual blindness)」と呼ばれる。実験参加者は、動画にはっきり写るゴリラを認識することができなかった。この例もまた、1つのタスク(ボールパスの回数を数える)に集中すると、他のタスク(ゴリラを認識する)がうまく実行できないことを示している。
成功にたどり着くには多くの方法がある。しかし常に1つの目的に注力すれば、短時間で最高水準の生産性を達成することができるだろう。