キップマンの予言は正しいかもしれないが、MRデバイスがスマホ並みに普及するのはまだ当分先のことだろう。HPなど一部の企業はウィンドウズフォンを製造しているが、マイクロソフトは自社ブランド「Lumia」の製造を終了し、新たなプロダクトの開発について何も公表していない。
同社のサティア・ナデラCEOは、最近のインタビューで今後のスマホ戦略について聞かれ、「新しい端末を開発することは間違いないが、既に市場に出回っている製品とは全く異なるものになるだろう」と述べている。
マイクロソフトは、ウィンドウズ10を搭載し、デスクトップアプリとも互換性のある「Surface Phone」(仮称)を開発中であると噂されている。筆者は、個人的にはマイクロソフトがこの新型デバイスをスマホとは位置付けずに、「Surface Mini」や「Surface P」(Pはポケットの意味)といった名称をつける可能性が高いと見ている。
その理由は、新型デバイスをスマホとして販売しても、iOSやアンドロイドからシェアを奪うのは困難だからだ。マイクロソフトは、「Surface」や「Surface Pro」で「着脱型タブレット」という新市場を創出して大きなシェアを獲得したように、今回もスマホの代わりとなる新たなカテゴリーを作ろうとすることが予想される。
エンタープライズ向け製品の可能性も
数年前にリリースされた「Surface RT」は、デスクトップアプリとの互換性が低く、OSのWindows RTは失敗に終わった。マイクロソフトは最近、ARMベースのSoCである「クアルコム Snapdragon 835」で動作するフル機能のWindows 10を発表した。
Snapdragon版Windows 10は、マイクロソフトが開発した新型エミュレーターを使ってx86とx64のデスクトップアプリを動かすことができる。Snapdragon 835は、サムスンの「ギャラクシーS8」にも搭載されているため、マイクロソフトは同じような形状でフル機能のWindows 10が動作する端末を開発することが可能になった。
マイクロソフトは、新型デバイスを「ポケットサイズのWindows 10端末」と宣伝するかもしれない。ウィンドウズフォンは一部から高い評価を得ているが、開発者向けサポートに関してはiOSとアンドロイドに大きく水を開けられており、アプリ数の差も歴然としている。しかし、新型デバイスが「Surface Pro」や「Surface Studio」と同じアプリを動作できるのであれば、特にエンタープライズ向けとしては魅力的な製品になるだろう。