「現状のマーケットで主流となっているデバイスとは別のアプローチで市場に切り込んでいく。独自のやり方で究極のモバイルデバイスを送り出す。サブスケールなカテゴリになるかもしれないが、特定の機能を求めるユーザーをターゲットとした製品で差別化を行っていくつもりだ」
昨年11月、オーストラリアのFinancial Reviewの取材にそう応えていたナデラは今回の番組で「我々が市場に送り出す電話端末は、既に市場にあるデバイスとは違ったものになる」と明言した。
デバイスをまたいで自社のソフトウェアやクラウドにアクセス可能な製品を送り出していくという、最近の同社の戦略を考えると、ナデラが言う「究極のモバイルデバイス」がどの様なものになるのかを推し量るのは少々難しい。
クラウド重視の姿勢に進むマイクロソフトが目指す「究極のモバイル」とは、アウトルックやOneNoteの利用を前提としたものになるのかもしれない。製品はAsusやサムスンによって製造され、オフィスがプリインストールされたアンドロイド端末になることも考えられる。現状で一つだけ明らかなのは、その製品が“Surface Phone”と呼ばれるものになることだ。
マイクロソフトのSurfaceに対するアプローチは紆余曲折を経て3つの最高レベルのデバイスを生み出した。Surface Pro 4は最上級のタブレットにポータブルPCの機能を持たせた。Surface Bookはハイスペックなラップトップに取り外し可能なタブレット的スクリーンを装備した。そして、Surface Studioは液晶一体型デスクトップPCとしてグラフィック性能でも注目を集めている。そして、その全てはWindows 10で動作している。
ナデラは現時点でもなおSurface Phoneに関して多くを明かしていないが、「マスマーケット向けというよりも、利用シーンを限定した高機能な製品を目指したい」と述べていることから考えて、比較的高価なデバイスになることも予想できる。今回の製品のミッションは大ヒットを生むことよりも、今後の5年から10年を見据え、マイクロソフトのポテンシャルを示す究極のデバイスを生み出すことになるだろう。
マイクロソフトは5月23日に上海でイベント開催を予定しているが、そこでSurface Phoneが発表される可能性は低い。今年の秋の発表が期待されるWindows 10の大型アップデートRedstone 3と同じタイミングになると筆者は予想する。次期アップデートでWindows 10はモバイル向けに様々な機能を盛り込むことが伝えられており、モバイル端末の発表をそれに合わせるのは絶好のタイミングと言える。
ナデラは果たして予定通りSurface Phoneを年内に送り出すことが出来るのだろうか。彼のコメントからは開発は順調に進んでいることが伺える。
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