こうした面接官は、礼儀をわきまえた人間は赤の他人からその人の弱みを聞き出したりしないということに気付いていない。
「あなたの最大の弱みは?」と聞くことは、私は無知で規則通りにしか仕事ができない人事/採用担当者ですと露呈しているようなもの。これに気付かない面接官には哀れみを感じざるを得ない。
この不快な質問は、少なくとも20年前には企業・組織の採用教則本から消えるべきだった。これが面接における最低の質問の一つだと考える理由は5つある。
1. 面接官はセラピストではない。弱みが何かは面接官にはまったく関係ない。
2. 自分の弱みを共有することなく、相手に弱みは何かという個人的な質問をするのは、ひきょうな行為。「私は自分では答えたくないことも、あなたには喜んで聞きます。私の方が地位は上なのだから!」と言っているも同然だ。
3. 人には誰しも弱い部分があるという考え方は、文化的な構築物にすぎないとの見方もある。米国では人には弱みがあるという考え方が一般的だが、他の国々では、人間には地球上での使命を果たすための完璧な能力が備わっていると信じる人が多い。
4. もし「弱み」という言葉が、自分が今よりも上達したいと思っているものを指すのだとしたら、あなたができることよりもできないことの方がはるかに多いのに、いったいその中のどれが弱みだと言えるのか? 興味があるものは時間をかければ上達するが、興味がなければ上達はしない。
5. 「最大の弱みは?」は非常に陳腐な問いであり、これだけでも惨めな質問である理由としては十分だ。使い古された退屈な面接質問集に頼る面接官は、半世紀前の面接対話集を改善する分析力も創造性も私にはありませんと公言しているようなもの。なんとも悲しいことだ!
面接で「弱み」に関する質問をされたら、選択肢は二つある。立ち上がって面接の場を去るのが一つ。これが最善の場合も実際あるが、その場にとどまりたい場合は回答しなければならない。
「最大の弱みは?」と聞かれたときは、本当は強みであることを「弱み」として答えよう、と聞いたことがある人は多い。仕事に打ち込み過ぎること、自分に厳し過ぎることなどがその例だ。
こうした退屈で使い古された答えは、元の退屈で使い古された質問と同じくらい低劣だ。ここでは「最大の弱みは?」に対する別の答え方を紹介する。