日本国際賞は、世界中の科学者にとって最も名誉ある賞の一つだ。第一回受賞式が開催されたのは、1985年。その3年前に、パナソニックの創業者である松下幸之助からの寄付を受け、日本国際賞準備財団が設立されたことによって、創設が実現した。
審査委員会は世界各地で活動する科学者たちの中から候補者を選び、「物理、化学、工学」と「生命、農学、医学」の2つの領域に入るそれぞれ3分野までに、同賞を毎年、授与する。ただ、各領域の3分野で候補者が選出されることはなく、2分野で候補が挙がることさえ珍しい(大抵は、受賞するのは1分野ずつのみだ)。
日米における「科学」
米国では先ごろ、科学者たちの呼びかけで「マーチ・フォー・サイエンス(科学のための行進)」が行われた。その数日前に開催された日本国際賞の授賞式は、日米間の重要な文化的な差異を明確に示すものだった。米国では科学がまるで“攻撃の対象”にされているのとは異なり、日本では非常に高い評価を受けている。
日本のサクセスストーリーは、目を見張るようなものだ。多くの国にとって、模範となり得る。人口は米国のおよそ3分の1、国土面積は大まかに言えば、30分の1に近い。米国ほど豊富な天然資源に恵まれてもいない。だが、日本は科学的な発見とその活用によって社会を変えることにおいて、世界のリーダーであり続けてきた。
輸送手段から電子機器、ゲーム、医療機器、治療方法に至るまで、米国人たちは毎日、日本の発明に基づいた製品をどれほど数多く利用しているだろうか。日本はこれまで、並外れた革新性と創造性を示してきた。
一方、米国はどうだろう?もちろん、米国も世界の科学界をリードしてきた。だが、このところ国内で見られる状況には、非常に問題が多い。米国は今、どれだけ「過去のもの」に依存しているだろうか?