シャオミは同社初の自社製CPU「Surge S1」を2月28日に発表した。3月に発売する約218ドルの低価格スマホMi 5Cで採用する。この動きは同社がCPU製造において、クアルコム等の外部企業への依存状態から脱却する狙いがある。
また、他のアンドロイド端末メーカーとの差別化にもつながる。中国で売上首位のスマホメーカーのファーウェイも独自CPUを製造している。
シャオミのレイ・ジュンCEOは「独自CPOの生産能力を持つことは、スマホメーカーにとって究極のゴールの一つだ」と述べた。「CPU開発はイノベーションの核となる技術だ。今後はハードウェア生産とソフトウェア開発を強固に統合し、より良い製品を送り出していく」とした。
シャオミのCPU製造には中国政府が資金援助を行っているとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は伝えている。レイ・ジュンは取材に対し、中国政府のテクノロジー省や北京市、さらに北京のハイテクエリアの中関村サイエンスパーク主導で立ち上げたファンドの支援を受けていると述べた。
中国政府にとって、半導体生産の海外依存を低下させる事は最重要課題の一つだ。中国は年間2000億ドル(約23兆円)のチップを海外から輸入しており、国内ではほとんど生産していない。中国政府は既に国内産チップ製造の支援のため、1000億ドルを投じると宣言している。
また、中国は海外の半導体メーカーを買収する動きも進めている。政府系企業の清華紫光集団(Tsinghua Holdings)は2015年にウエスタンデジタルの株式15%を37億8000ドルで取得。また、2016年にはラティスセミコンダクターの株式6%を4160万ドルで取得している。
シャオミのチップ開発は2014年に傘下のPineconeで始動し、その後28ヶ月をかけて準備を整えたという。
シャオミはSurge S1について、クアルコムのSnapdragon 625に対抗しうる製品だと述べている。同社の計測ではパフォーマンスはSnapdragon 625を上回ったという。
シャオミは中国での苦戦が伝えられる一方、米国のスマホ市場進出への動きも進めていた。しかし、同社のグローバル部長だったヒューゴ・バラは1月に退社し、その後フェイスブックのVR部門の責任者に就任した。シャオミはその後、再び中国市場への注力を高めている。