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カルビーには閉じられた会議室がない。松本会長の「ノーミーティング・ノーメモ」を体現するオープンな打ち合わせスペースが随所にあり、効率的に働く。

「カルビーの躍進」といえば、すなわちそれは松本晃代表取締役会長による徹底した組織改革に端を発する。CEOに就任した2009年より、フリーアドレス制などを取り入れたオフィスや人事評価の見える化、ダイバーシティやライフワークバランスの推進など、さまざまな施策を同時並行的に実施。7期連続の最高益を達成した。

特に「フルグラ(フルーツグラノーラ)」は働く女性の視点で販売の活性化に成功し、4年で年商6倍と、業績好調の強い推進力に。カルビーは、いまや誰もが認めるダイバーシティ企業のロールモデルになったのである。

このようにトップの強いコミットメントなくしてダイバーシティが本格始動することはない。しかし、それを風土・文化として根付かせ、実現させるのは現場だ、というリアリティがカルビーには確かに存在する。

「女性の活躍なしにカルビーの成長はない」という方針を掲げて10年に結成されたダイバーシティ委員会。その現委員長・新谷英子は、「松本がCEOに着任した当時、私は育休中だったんですが、育休後に戻ったら外資系企業に転職したのかと思うほど違っていたんですよ」と笑う。

「もともとのカルビーもとてもいい会社だったけれど、正直、子どもを抱えてキャリアを積み重ねていくイメージが描ける会社ではなかった。ダイバーシティを推進しはじめた新しいカルビーに期待すると同時に、自身もキャリアカウンセラーの資格を取得し、仕事の幅を広げる挑戦を始めました」

初代委員長を務めた後藤綾子は、現在執行役員のひとり。活躍はとどまることがないようで、「入社23年目にして初めて転勤するんです」と驚きを見せつつ、現実を受け入れる。北海道事業本部長として17年4月に赴任予定。しかも営業の現場にかかわるのは十数年ぶりだという。

「利益目標も負いますし、プレッシャーはかなりありますね。でも、初めてのことってそこまで怖くないんです。オフィス改革もダイバーシティ推進も、ゼロから立ち上げてきましたから」

ダイバーシティでわかりやすい指標といえば、女性の管理職比率だろう。カルビーが掲げている数値目標は「20年までに女性管理職比率30%一番乗り」。実際、11年度の7.9%から16年度は22.1%へと、年3%ペースで上がっている。

一方、委員会の役割は「ダイバーシティへの理解を深めること」で、数値が目標ではない。発足1年後のことだ。「ダイバーシティが進んだ結果、カルビーはどうなるのか?」というテーマで議論がなされ、「時短勤務者が“すみません”という挨拶と引き換えにイキイキと活躍し、堂々と帰宅できる」「女性工場長が誕生する」「グローバル企業になっている」「メディアの取材が殺到している」などの“夢”を描いた。この“未来イメージ”を共有しつつ、トップと現場の「総力戦」で推進することが、ダイバーシティの成功の秘訣なのだろう。

「いいカルビー・楽しいカルビーを残しながら、全員で強くなりたい。個性を生かしながら、一人ひとりが120%の力を発揮できるような組織と企業文化をつくっていきます」

前述の未来イメージの大半がすでに実現しているカルビーにとって、その言葉は決して夢物語ではない。


カルビー◎日本で最も有名な、菓子の製造・販売企業の一つ。1949年の設立以来、ポテトチップスをはじめとした数多くの大ヒット商品を擁しており、近年では「フルグラ」のヒットが記憶に新しい。また、女性活躍推進企業として注目を集めている。

※フォーブス ジャパンは昨年12月19日、日本最大規模の女性アワード「JAPAN WOMEN AWARD 2016」を発表。“働きやすさ”ではなく“真の女性活躍”の促進・発信を目指す同アワードで、カルビーは真に女性が活躍している企業として、企業部門総合ランキングの従業員規模1,000名以上の部、グランプリを受賞した。

文=伊勢真穂、写真=山本マオ

 

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