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2016.12.25

「インテル入ってる」22年の歴史 サウンドロゴの王様を生んだ男

Photo by Dragan Jovanovic / Shutterstock.com

22年前、あるテック系企業のマーケティング戦略として5つの音で構成された3秒間のサウンドが編み出された。今やインテルと言われて連想するのは「インテル入ってる」のキャッチコピーとあの音だろう。

非常にシンプルなサウンドなのに、なぜ強烈に心に残るのだろうか。この短い音がインテルの成功に大きく寄与している。考案したウォルター・ワーゾワによると、この短いサウンドロゴには数百万ドルの価値がある。ワーゾワは1994年、インテルと話し合いを重ねてこの有名なサウンドを編み出した。

インテル・グローバル・プロダクション・ラボでプロダクション・ディレクターを務めるYogiraj Grahamは、「あの音声は私たちの資産の中でも最も強力な資産の1つに数えられます」と語る。

アップルも同社の製品と美しい音を関連付けることに力を入れている。アップルTVを操作している時も、PCを起動する時も、メールを受け取った時も、巧みに考えられた心地よい音が聞こえてくる。

ネットフリックスのサウンドロゴも素晴らしい。これは実はドラマ「ハウス・オブ・カード」の主人公フランクがテーブルを2回ノックする音にちなんでいるという。

他にもAOLの“You’ve Got Mail”、マクドナルドの“I’m Lovin’ It”などが秀逸なオーディオ・トレードマークと言えるだろう。企業名を聞いただけで頭の中にお決まりの音声が流れる。

インテルの音は「サウンドロゴ」の王様

ハーバード・ビジネス・レヴューによると、2012年のAudio Branding Congressで紹介された調査で「調和する一連のサウンドは、食べ物やワインの味も向上させる」との結果が出た。それに加え“サウンドを戦略的に活用することは製品に信頼感を持たせ、売上をも向上させる”という。

インテルは2016年上旬、広告会社mcgarrybowenとのコラボでワーゾワ自らがおなじみのメロディを組み込んで名曲を編曲したテレビ広告を打った。

「ワーゾワは “インテルのメロディはサウンドロゴの王様”だと言いました。私たちはその威力を理解し大切にしています。そして彼は新たにベートーベンの交響曲第5番とインテルのメロディを融合させました。インテルのサウンドロゴを全く新しい印象にしたかったのですが、それを見事に実現してくれました」とGrahamは太鼓判を押した。

編集=上田裕資

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