タブレットPC製造はIT関連内需の高まりを受けた中国メーカーに吸い取られていく。受託生産の世界最大手である鴻海精密工業は業績の鈍化に直面している。携帯端末メーカーHTCも新たなビジネスモデルの創出に苦戦している。
そして新たな苦難が訪れた。世界のノートPC需要が減少しているのだ。台北に本拠を置く調査企業Digitimes Researchのデータでは、ノートPC製造分野で台湾は世界の90%のシェアを持っているが、世界のノートPC出荷台数は昨年の1億5,790万台から今年は4%減少。来年はさらに4.5%落ちこむとされる。
台湾政府が支援するIT分野のリサーチ企業MICIのジェシカ・スウは「東芝のPC事業の縮小や、他のブランドが製造委託から自社生産に切り替えたことが、台湾のメーカーの痛手になった」と述べる。東芝は今年3月に海外のコンシューマ向けのPC販売を停止するとアナウンスした。
台湾からのノートPC輸出はスウによると、来年は1億2,700万台に減少するという。これは2013年の1億5,000万台から大きく落ち込むことを意味する。
台北本拠のシンクタンクYPRIのLiang Kuo-yuanも「台湾はかつてノートPC王者だったが、時代についていけなくなりつつある」と述べる。
台湾を代表するPCブランドとしてはAcerやASUSなどがあげられる。また、受託生産分野ではクアンタやコンパル、Wistronらがあげられるが、3社の海外出荷台数は先月12%減少したと調査会社のDigitimes Researchは伝えている。
台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は「アジア版シリコンバレー」を2023年までに創出するとしており、起業を促進し特にIoT分野に注力するとしている。蔡総統は台湾政府として初のデジタル担当大臣も任命した。
政府は11月24日に「デジタル国家イノベーション経済計画」を発表。今後8年間でネット通信環境の増強やネットユーザーの権利保護強化を行ない、台湾の情報通信分野の存在感を高めていくとしている。