その壇上で昨秋、4人の投資家たちが「一番注目するテクノロジートレンド」に挙げたのは「マイクロサービス」だった。いったいどんなサービスなのか。
「マイクロサービスは今すごくバズワード(流行語)になっています。以前は単一のプログラムとして設計されたモノリシック(一枚岩)なアプリケーションが主流でしたが、今はマイクロサービスの時代になりました。大規模なアプリケーションを機能ごとに小さな部品に分けて開発・運用する手法です。社内の開発体制は部品ごとにコアチームに組織化され、必要に応じて他のチームに部品を提供するようになった。そして1〜2年ほど前から、この部品を社外向けにも提供するスタートアップが増えています」(スケール・ベンチャー・パートナーズのパートナー、アリエル・ツェイトリン)。
この“小さなインフラ”である部品こそがマイクロサービスと呼ばれるものだ。同サービスの隆盛は「API化」とも表現される。
API(Application Programming Interface)とは、あるコンピュータプログラムから外部のプログラムの機能やデータを呼び出す仕組みのこと。以前から使われてきたが、近年のクラウドの台頭によって、企業間の異なるアプリケーション同士を連携させるオープンな仕組みとして注目されるようになった。
「急成長しているモバイルスタートアップのサービスの中身を見てみると、APIがいくつも使われています。たとえばUberの場合、地図はGoogle Map、テキストメッセージはTwilio、決済はBraintreeといった感じで(メイン画像参照)、およそAPI化できるものはすべてAPI化されています。もしUberが自社でこれらのサービスを開発していたら、何十年もかかっていたでしょう」(アクセル・パートナーズのパートナー、ジェイク・フロメンバーグ)
他社のAPIを使えば、開発コスト・時間を短縮でき、すばやく市場に新製品を投入できる。運用時の手間暇もほとんどかからない。
「マイクロサービスはクラウドとモバイルが普及した今だからこそ、可能になりました。今後もAPI化、マイクロサービスのトレンドは続きます」(フロメンバーグ)