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2016.11.26 15:00

ブラックコートを愛したヘンリー・フォード[大富豪の嗜好品 #3]

ヘンリー・フォード

ヘンリー・フォード

ビジネスにおける成功者たちは、その人生においてどんなスタイルを好んだのだろう。その一端を垣間見るだけでも、我々も高みへといけるのではないか?そんな気持ちにさせてくれる大富豪たちの物語。

#3 ヘンリー・フォード /フォード・モーター創始者

幼いころから時計を分解し、組み立てることが好きだったヘンリー・フォードは、16歳で高校を中退しデトロイトで見習い機械工として働くようになる。82年に蒸気機関の修理工として雇われたあとは、技術者としての道を歩み始め、91年エジソン照明会社の技術者となった。

その後チーフ・エンジニアに昇進した彼は、96年には自作4輪自動車の製作に成功。尊敬する社長トーマス・エジソンは、自動車への夢を熱く語るフォードをその道に行くよう強く後押ししてくれた、という逸話が遺っている。

その志は、99年、デトロイト自動車会社の創業に結実する。しかしながら生産した自動車は低品質な割に高価格だったため、1901年にあえなく解散。再起を目指すフォードは、03年に新会社「フォード・モーター・カンパニー」を設立し、T型フォードを発表。この自動車は、低価格で運転も簡単だったため、爆発的な売り上げとなった。

さらに13年に導入したベルトコンベアによるライン生産で、生産能力が大幅に強化された。5年後の18年には、なんとアメリカで保有される自動車の半分はT型フォードとなり、最終的な総販売台数は1,500万台を超えるまでに成長した。

フォードが稼いだ金額、19.9兆円

「効果を表すまでには時間がかかる」など、数多くの格言を遺したフォードは、その生涯で19.9兆円もの資産を蓄えた。これは歴史上の大富豪ランキングでも9位に相当する巨額の富だ。フランチャイズシステムや、フォーディズムなど画期的なビジネスプランを考案し、経営を安定化させるだけでなく労働者の待遇を改善し、社会の経済状況も好転させた。

「フォーディズム」と「労働哲学」

安価な製品を大量生産しながら、労働者の高賃金を維持する「フォーディズム」は、デトロイトの経済状況を全米一のものにした。消費者優先主義が平和の鍵だという見解を持っていた彼は、数多くの技術革新を試みた。1914年当時、労働者に対して行った日給5ドルという金額の提示は、従来の賃金のほぼ2倍。これは優良な労働者を確保し続けることによって、職業訓練コストを軽減できる、という観点から。

彼が愛したスタイル

コートは威厳と風格をもたらすアイテムだ。農家の出身であったフォードは、技術者となった(とくに出世した)あとは、仕立てのいいスーツと、クラシックなブラックコートに身を包んでいる。そんな彼のスタイルを完成させるには、信頼の高いテーラードブランドでなければ、釣り合いが取れないだろう。

この条件のもとチョイスしたのは「エルメネジルド ゼニア」。世界最大の生地メーカーでありながら、自社商品も製作するというイタリアの老舗は、その工程を羊毛の精製からスタートするため、仕上がりや実際のフィット感は抜群。威厳を持たせたいスタイルにはふさわしい至高のコートといえる。


コート560,000円、スーツ490,000円、シャツ39,000円、タイ23,000円、シューズ102,000円(すべてエルメネジルド ゼニア)

編集 = Forbes JAPAN 編集部 Photo by Junji Hata

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