人材紹介会社ロバート・ハーフは今年9月、「従業員」と「最高財務責任者(CFO)」の2つのグループを対象に、リーダーシップに関する調査を実施。「次のうち、企業のリーダーに最も重要な性質はどれだと思いますか?」という質問に対し、以下の8つの性質を挙げ、該当すると思うものを選んでもらった。
・ 近づきやすさ
・ 協調的な考え方
・ 競争力
・ 決断力
・ 公正さ
・ 誠実さ
・ 戦略的な考え方
・ 透明性
それぞれのグループの回答に大きな違いがみられたことは驚くべきことではないが、両者の答えには類似点もあった。
調査の結果、どちらのグループも最も多くの人が「誠実さ」が何より重要だと考えていることが分かった。従業員の75%、CFOの46%が、この特質を最も重要なものに挙げた。次いで、従業員の58%、CFOの45%が、「公正さ」が最も大切だと指摘した。
ただし、それ以降の順位にはばらつきがみられた。CFOの33%は「透明性」を挙げたが、これを選んだ従業員は25%にとどまった。その他には、「競争力」に関する見方の違いが大きいことも明らかになった。CFOのうち、この性質を持っていることが一番重要だと答えた人は30%だったが、従業員の間ではわずか10%がそう考えているにすぎなかった。
さらに、年齢によって「公正さ」の捉え方に違いが目立ったことも、興味深い点だといえる。55歳以上の人たちの72%は、この特性がリーダーに最も重要なものだと答えた。一方、18~34歳の人たちの間では、同様に考える人は44%だった。
「模範を示す」ことが重要
今回の調査で最も注目を集めたのは、リーダーに求められる「誠実さ」だった。この点が重視されることは、驚くに値しないだろう。いま米国で、なぜ大統領候補2人の「不支持率」が“高止まり”しているのかということを、改めて考えさせる結果でもある。
2人の候補はいずれも、この「誠実さ」という点(正直さ、行動、性格)において、重大な欠点があると受け止められている。理想を言えば、私たちは自分自身のリーダーとなる人には、性格的にも優れ、誠実であり、簡単には超えられない“バー”だと思える人であることを望みたい。
調査結果を受け、経営者たちに送るアドバイスがあるとすれば、それは「適切な例」を示すための行動をすぐにも取るべきだということだ。そしてまた、パフォーマンスに関連した問題には迅速に対応する必要があるということだ。そうした行動を取ることで他の人たちに対し、あなたは問題を悪化させない人だと示すことができる。
経営に関して適切な模範となるために、特別な才能は必要ない。だが、従業員の信頼と忠誠心は、長い時間をかけなくては得ることができないものだ。