ペントハウス社は2007年から出会い系サイトを運営するFFNグループが運営していたが、2013年に破産。経営権を引き継いだホランドが立て直しに乗り出した。
「前のオーナーたちは雑誌のブランド力を全く理解しない、心無き人々でした。このブランドで何が出来るか、ビジョンが全く無かったのです」とホランドは言う。前オーナーのFFNは出版部門を閉鎖することを決定し、25名の従業員を解雇。ニューヨーク事務所を閉鎖しようとしていた。
「雑誌を廃刊にするなんてとんでもない。すぐに立て直しにかかりました。若い女性読者を増やし、広告収入をあげ、定期購読者を増やすというビジョンもありました。雑誌をマガジンスタンドに置き続けてやろうと思いました」
ペントハウスが誇る一流の写真家が撮るヌード写真だけでなく、読まれる記事を届けたいと思った。ホランドの指揮下でペントハウスは読者層を拡大し、女性比率を3割から4割に伸ばすことを狙う。「自分の直感に従って、ビジネスを変えていきたい」とホランドは話す。
元戦争ジャーナリストの女性起業家
自称フェミニストのホランドは「セックスをとりまく後ろめたさや恥の意識を取り除きたい」と語る。元戦争ジャーナリストの彼女は、アダルト映画業界に転身したのち、メインストリームのドキュメンタリー制作も手掛けた。
デジタル部門Penthouse.comの再生と並行して、編集業務のアウトソーシング化も進めている。「買収前に年間300万ドル(約3億円)の赤字だった事業を、100万ドルの黒字に転換させました」
買収決定後、はじめての号の発売まで4日間しか時間が無かった。徹夜で編集業務にあたったが、満足のいく出来ではなかった。読者からは多数の苦情がよせられた。
「不満の声をよせてくれる読者こそ、ペントハウスを愛してくれる人たちなんだと思いました。そのブランドに愛着が無ければ、裏切られた気持ちにはならないのです」
最大の怒りを買ったのは、読者投稿でセックス体験を取り上げるコーナー「ペントハウス・レター」が欠けていることだった。
「ペントハウス・レターは雑誌の名物コーナーで、投稿の半数は女性読者からです。官能小説の主要購入者が女性であることを考えると、これは自然なことなのです」とホランドは言う。