アップルの「バスケ大好き幹部」 スポ根重視のリーダー養成機関を設立

エディー・キュー アップル上級副社長 photo by Justin Sullivan / gettyimages

ガジェット好きの間では「バスケ大好きオヤジ」として知られるアップルの上級副社長のエディー・キューが立ち上げるスタートアップ企業が話題だ。キューはリオ五輪でバスケットボール米国代表チームのヘッドコーチを務めたマイク・シャシェフスキーと組んで、「パワーフォワード(PowerForward)」社を設立すると、9月12日に発表した。

パワーフォワードは、リーダーシップの育成に力を入れたい企業向けにコンテンツやケーススタディを提供するモバイル動画ネットワークだ。テーマやコンテンツを形作ったのはシャシェフスキー。彼はバスケのコーチとして活躍するかたわらで、長年リーダーシップを研究しており、デューク大学のビジネススクールでも教鞭をとっている。

共同創業者にはベイン・アンド・カンパニーでコンサルタントを務めたクリシー・ゴーマン(Chrissie Gorman)CEOも名を連ね、債券投資会社オークツリー・キャピタル・マネジメントの共同創業者ブルース・カーシュ、ベインキャピタルのスティーブン・パグリューカらもいる。

キューは「“立ち上げ”は一度しかないこと。最初から素晴らしいものにしたかったのです」と言う。「彼(シャシェフスキー)のブランドが安っぽいものになったり、彼らしくないものになったりするのは嫌でした。今回のサービスは彼がこれまで行ってきたプログラムの延長であり、それを広く届けるためのものです」

フォーブスはバスケットボールの有名コーチでありながらテック系企業の経営に関わることになったシャシェフスキーに9月初旬にインタビューを行った。以下がその抜粋だ。

――パワーフォワードが生まれた経緯は。
一緒に仕事をしているスポーツエージェントのCAAにこう話した。「コーチをどれだけ続けられるかわからないが人に物を教えるのは好きだ。リーダーシップやチームワークも好きで、これについてはずっと前から話し続けてきた。引退後にテレビに出たりゲームをしたりして過ごすのは嫌だ。誰かに影響を与え続けたい」

――あなたにとって優れたリーダーシップとは。
素晴らしいチームでは誰もが責任感を持っている。それは給料を払えば実現するものではない。メンバーの考えに耳を傾け、当事者に決断を委ねることで実現するものだ。そうすることでさらに良い結果が得られる。素晴らしいリーダーがいることが重要なのではなく、組織全体にリーダーが存在することが重要なのだ。

――スポーツからビジネスへはどのように頭を切り替えるのか。
実のところそれについては模索中だ。私は企業に所属してきたわけではないため、未知のことが多い。流れに任せることにしている。バスケットボールに例えると “モーションオフェンス(選手の判断による攻撃)”を展開し、流れを読むようにしている。

――なぜ今のタイミングでパワーフォワードを立ち上げたのか。
コーチを引退した時のために何かを作っておきたいと思ったからだ。やりたいことのアイデアがあり、これもその1つだ。常に前進し、世界とのつながりを保つ必要がある。世界で起きていることにすべての瞬間でかかわっていきたいと思っている。

編集=上田裕資

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