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2016.09.17 17:00

小栗旬、綾野剛を育てた映画プロデューサー、山本又一郎が原点を語る

山本又一朗 トライストーン・エンタテイメント 代表取締役(写真=河崎夕子)

山本又一朗 トライストーン・エンタテイメント 代表取締役(写真=河崎夕子)

映画プロデューサーであり、小栗旬、綾野剛を“主演俳優”にまで育て上げた鬼才、山本又一朗氏。クリエイティブな世界を絶妙なバランス感覚で生き抜いてきた氏が、大切にしている教えとは?

昨年11月、表参道青山に「Roy」という会員制のレストランをオープンしたんです。ステージがあり、スクリーンがあり、素晴らしい音響システムがあり、美味しい食事と旨いワイン。18時以降はもっぱらここで打ち合わせや会食をするんだけど、僕にとってはここがクリエイティブにじっくりと向き合う空間ですね。クリエイティブってひとりじゃ成立しない。人と出会ったり、打ち解けて話をしたりする場が必要なんですよ。

映画業界に足を踏み入れたのは、24歳で出会ったプロデューサーの存在が大きいです。当時、漫画家の小池一夫氏のマネジメントをしていて、彼の『子連れ狼』をハリウッドで映画化したいというオファーが舞い込んだので、交渉役としてアメリカに飛んだんです。その際、東宝のプロデューサー奥田喜久丸さんから「会ってきなさい」とアルバート・S・ラディを紹介された。ラディはのちの『ゴッドファーザー』のプロデューサーであり、当時は『ロンゲスト・ヤード』や『マチルダ』を撮っていた。腕をまくり、ジーンズの後ろポケットに脚本をさして、英語もほとんど喋れない僕をオープンカーの助手席に乗せ、2日間スタジオを案内し、食事をご馳走してくれてね。これにはシビれました。それで、「日本に帰ったら絶対に映画をプロデュースする」と決心し、いまやカルトな名作として評判の『太陽を盗んだ男』、外国人俳優を使い全編海外ロケを敢行した『ベルサイユのばら』などを20代終わりにプロデュースしました。

その後、理想とする映画づくりを追求していったら、俳優を育成するプロダクションを設立すべきだという考えにたどり着いたんです。俳優だけは力がついたら、他の誰も無視できない。設立からもう20余年になりますが、おかげさまで小栗旬、綾野剛を筆頭に活躍してくれています。一方で、特に若いころは撮影中に警察官に首を絞められたり(笑)、映画製作費が膨らんで家を抵当に入れたり…。まあ、苦労を重ねた20代後半〜40代前半があったからこそ、まだ第一線でプロデューサーとしてタフに仕事できているんじゃないですかね。

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堀 香織 = 構成

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