5月中旬、グーグルの世界開発者会議「グーグル I/O 2016」へ参加してきた。2008年から毎年開催されている恒例のカンファレンスで、9回目となる今年は、グーグルの本社があるカリフォルニア州マウンテンビューに、過去最多の7,000人近い参加者を集め、盛大に開催された。参加者はインド系、中国系が目立ったが、全体としては世界各地のエンジニアが集い、まさにエンジニアのオリンピックのような雰囲気であった。女性の割合も20%を超えており、日本ではなかなか見られない光景だ。まさにダイバーシティという観点でも、相変わらず日本は後れを取っているなと痛感した。
私も、人工知能やアプリを通して人々を健康にする会社の経営者として、さまざまなセッションに参加した。今年3月に囲碁の世界チャンピオン、韓国人プロ棋士イ・セドル九段を4勝1敗で打ち負かして世間を賑わせた「AlphaGo(アルファ碁)」という人工知能や、音声を中心とした検索機能、自動運転のセルフドライビングカーなど、彼らは次から次へとワクワクする技術や製品を生み出している。特にアルファ碁は、機械に学習をさせていく、いわゆるディープラーニングのテクノロジーにおいて画期的成長を遂げ、今回の対戦において「勝つための手を自ら工夫して考えた」という点は特筆すべき成果だろう。
先日、ついにアップルを抜いて時価総額世界一となったグーグルは、ロシア系移民のセルゲイ・ブリン、ユダヤ系のラリー・ ページがスタンフォード大学在学中に知り合い、1998年に創業した会社だ。昨年引退したエリック・シュミット前CEOはドイツ系であり、後を継いだサンダー・ピチャイ現CEOも、インド工科大学カラグプル校卒業後スタンフォード大学で修士を取得しているインド系移民だ。やはり世界一になるためには、世界の頭脳を取り込まなくては、と改めて肝に銘じた。