ポルシェが日本でキーノートを実施する。その知らせを聞いて、いささか、首をかしげてしまった。ワールドプレミアが登場する国際的なモーターショーで、ドイツ本社の大本営発表としてのキーノートを行うならまだしも、日本国内に向けてはたいてい新車の発表会を行うに留まるからだ。今回のように、企業としてのミッションを発表することは珍しい。
発表される当日、ポルシェジャパンが移転したばかりの虎ノ門ヒルズには、開場を待つメディアが駆けつけていた。
ポルシェの最新モデルである新型「718ケイマン」が発表されることも話題のひとつだが、ポルシェジャパンを率いる七五三木敏幸社長に加えて、ドイツ・シュトゥットガルトにあるポルシェ本社からマーケティング部門を担当する取締役が来日し、これまでにない、日本企業としてのポルシェ ジャパンが目指す方向性を示したのだ。
「1995年にポルシェ ジャパンが設立されてから20周年を記念して、虎ノ門ヒルズに拠点を移しました。それに伴って、ポルシェ ジャパンとしての未来像をお伝えし、それに向けたミッション、日本の皆さまへの3つの約束をお伝えします」という七五三木社長の言葉で、キーノートが始まった。
ポルシェは、従来、「911」というスポーツカーのアイコンを頂点としたスポーツカーのヒエラルキーの頂点に君臨するモデルを筆頭に、弟分である「ケイマン/ボクスター」で裾野を広げ、さらにはSUVの「カイエン」や「マカン」へとラインナップを広げることで、ブランドを進化させてきた。
さらにこの数年、その動きが激化している。昨年には新型911を発表し、後を追うように新型718ボクスターが登場し、さらにこの日、新型718ケイマンが日本に上陸した。時をほぼ同じくして、本国ドイツでは首都ベルリンで「パナメーラ」が発表されている。魅力的なモデルを継続的に発表するだけではなく、それを日本にデリバリーできる体制を整えてきたことも、近年のポルシェ ジャパンの好調につながっているはずだ。