ミシガン大学の研究チームが実施したこの研究では、20代前半の108人の分析を行った。研究に参加したこれらの人々の75%は男性で、ほぼ全員が白人。研究者たちは4年間の期間中、3つの時点で参加者の脳のスキャン画像を撮影し、考察を行った。
研究では参加者たちに、目の前の画面に標的を見たらボタンをクリックするというゲームをするよう依頼。成績によって賞金が出る場合、金銭を失う場合、あるいは報酬ゼロの場合があると説明した。報酬があると、脳内の側坐核と呼ばれる領域から快感や幸福感を生み出す化学物質、ドーパミンが放出される。反応が大きいほど、その人物が後からその行動を繰り返す可能性が高くなる。
研究チームは、大麻を頻繁に使用すると報告した参加者たちの側坐核の反応が、時間が経過するにつれて小さくなっていくことを発見した。
研究報告の著者で神経科学者のメアリー・ハイツェグは、そのひとつの説明として、長期間の大麻使用によって、側坐核が、その環境で得られる報酬に反応しなくなる可能性を指摘する。自然の報酬としては食べ物や性行為、金銭などが含まれ得る。
「大麻は米国で最も一般的に使われている違法薬物。全国調査によれば、この5年で、大麻が人体に害を及ぼすリスクについての認識が薄くなってきている」と彼女は言う。「今回の研究所見は、長期に及ぶ大麻の使用と脳の報酬に対するの機能変化に関連があることを示している。これは、大麻の使用は害にはならないという認識に異議を唱えるものだ」
だが研究結果を受けても、多くの大麻使用者は、娯楽目的での大麻がもたらす悪影響を否定する可能性がある。大麻が人体に害を及ぼす可能性があると認めるかどうかは「それぞれの使用者が判断することだ」とハイツェグは言う。