アップルは中国銀聯(China UnionPay)と提携し、銀聯(ぎんれん)のデビットカード保有者がiPhoneとiPadで支払いができるようにしている。テック系メディアの報道によると、アップルペイ担当のバイスプレジデント、ジェニファー・ベイリーは「アップルペイを世界の主要マーケット全てで使えるようにしたい」と語ったという。
中国では銀行232行が銀聯カードを発行している。アリババの決済アプリ、アリペイとテンセントのWeChat Payは銀聯の強力なネットワークと連携しておらず、アップルが銀聯と組むのは合理的と言える。iPadとiPhonesの所有者は銀聯カードをアップルのアプリに登録することで、支払いができるようになる。アップルペイが中国でサービスを開始した今年初め、中国スマホマーケットでのiPhoneのシェアは14%だった。
銀行に頼らないアリペイの仕組み
しかし、実際にはアリペイとWeChat Payは銀聯の助けが無くとも自力でテリトリーを拡大している。調査会社IDCのクライアントデバイス担当バイスプレジデント、ブライアン・マーは「アップルには十分なブランド力があり、ハイエンドユーザーはアップルペイを使用するとの主張も聞かれたが、アリババとテンセントが君臨している中で、それは楽観的すぎる考えだ」と述べた。
中国ではクレジットカードを受け付けない小さな店でもアリペイやWeChat Payが使える。店は客のスマホからQRコードを読み取るだけでいい。アップルペイが対抗するためには使い勝手を良くしたり安全性を高めたりするなど、さらなる進化が必要だ。
北京のエンジェル投資家、ダニー・レビンソンは、アップルペイを支持するユーザーもいるとしたうえで、シェア拡大が必ずしもプラスには働かないと指摘する。「アップルペイが今後、中国の2強を切り崩し始めたら、今度は保護貿易のバリケードにぶつかり、中国市場からシャットアウトされるかもしれない。中国ではなんでも起こりうる。アップルはリスクと利益のバランスを考えているはずだ」