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I write about business and culture in the Asia Pacific region.

Photo by ChinaFotoPress/ChinaFotoPress via Getty Images

アップルは中国の配車アプリ最大手、「滴滴出行(ディディチューシン)」への巨額出資を発表した。その背景には、データやエンターテインメントなどのサービス関連事業を中国市場に普及させようとするアップルのしたたかな戦略があるようだ。

中国でウーバーと競合する滴滴は5月13日、アップルから10億ドル(約1,090億円)を調達したことを明らかにした。滴滴のジーン・リュー社長によると、両社の経営陣は4月20日にカリフォルニア州クパチーノにあるアップルの本社で初めて会い、アップルは電光石火で滴滴への出資を決定したという。

「アップルとは将来的に様々な分野でコラボレーションをしていく」とリューは述べ、両社のパートナーシップがプロダクトやマーケティング、テクノロジーなど広範囲に及ぶことを示唆した。

iPhoneの成長に陰りが見える中、アップルにとって滴滴との提携は、中国でのコンテンツ配信や決済などのサービスを普及させる絶好の機会だとアナリストらは見ている。年初にはiPhoneの販売台数が前年比で初めて、マイナスとなったが、その主な要因は香港や台湾を含む大中華圏での販売が低迷したことだ。2Qの大中華圏における売上高は、前年から43億ドル減少して124億9,000万ドルとなり、全体の売上高も前年同期比13%減の505億5,000万ドルとなった。

滴滴のユーザー数は3億人以上

滴滴のユーザー数は3億人を超え、中国の400都市でサービスを展開している。「アップルは今後、滴滴のアプリや車内ディスプレイを通じて滴滴のユーザーにデータや音楽関連サービスを提供し、アップルペイの事業を拡大することができる」と北京に本拠を置くコンサルタント会社、Analysys Internationalのジャン・シュウは分析する。

調査会社Canalysで調査部長を務めるニコール・ペンによると、中国人の多くはアップルをハードウェア企業だと認識しており、エンターテイメントや決済サービスの認知度は驚くほど低いという。

「中国の中間層はアップルのサービス関連事業をほとんど知らないが、滴滴との提携によって認知度を大幅に向上させることができる」とペンは話す。

中国政府当局はメディアセクターへの統制を強化しており、4月にはアップルに対して書籍や映画のオンライン販売の停止を要請した。政府当局は、「iBook」や「iTunes Movie」を禁止処分にした理由や、禁止の解除時期などについて一切明らかにしていない。

滴滴のリュー社長は、アップルが中国政府と関係を強化する手助けができるかと問われたが「様々な分野で相互にサポートする基礎を築くことができた」と述べるに留めた。

滴滴にはアリババやテンセントのほか、中国政府系ファンドの「中国投資有限責任公司」や金融コングロマリット「中国平安保険」の投資部門なども出資している。滴滴はこれまでに繰り返し資金調達を行っており、評価額は250億ドル(約2兆7,250億円)に達すると言われている。

「アップルは今回の出資を機に、同じく滴滴の株主であるテンセントやアリババなどの大手ネット企業と協業しやすくなる」と調査会社フォレスターで調査部長を務めるトラビス・ウーは話す。

人工知能での技術提携も視野に

アップルと滴滴は、将来的に人工知能(AI)の分野で協業することも予想される。滴滴の研究機関であるDidi Researchで社長を務めるハー・シャオフォンによると、同社はAIや機械学習の第一人者をスカウトし、車両の到着予想時間の誤差を削減したり、ユーザーの配車需要を予測することに取り組んでいるという。「今後、テクノロジー分野に重点的に投資を行っていく」とハーは述べている。

AI分野での提携は双方にとってメリットが大きい。「アップルは先進的な技術を滴滴に提供できる」とAnalysys Internationalのジャンは言い、Canalysのペンは、「滴滴は交通量や乗客の行動に関するデータをアップルに提供し、自動運転技術の研究に役立たせることができる」と話す。

編集=上田裕資

 

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