産業、インフラの課題について、元国連職員でもあるデロイト トーマツ コンサルティング執行役員ディレクター、田瀬和夫氏に話を聞いた。
「成田空港、東アジアにおける防災ハブ化」。田瀬とデロイト トーマツ コンサルティングが今、関係省庁、国連機関、NGOなどに提案しているアイデアだ。
「〈包括的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する(目標11項)〉とあるが、強靭なインフラを持つ強靭な都市をつくれるか、ということにおいては、日本は世界でダントツの技術を持っています。ただし、それをどのように国際社会に貢献する形で輸出していくか、ということを考えるべきでしょう」(田瀬)
成田空港は、倉庫も多く、物流の能力は十分に備えている。アジアで何か起こった時に国連の物資を輸送する拠点となれる。さらに、物だけではなく、人、情報、国際保健のハブとする。すでに国家戦略特区なので、柔軟な対応が可能だ。地盤が固く、海からも遠いので、南海トラフ地震や、首都直下地震などが起きた際にも力を発揮するのではないか。
成田空港の例は一つのアイデアではあるが、インフラを輸出するにあたっては建築法などの法整備も不可欠。「国連や、政府、NGOの協力を得ながら、システムをまるごと輸出することが必要となるでしょう」(同前)。
たせ・かずお◎1992年外務省入省。2004年より国際連合事務局・人道調整部・人間の安全保障ユニットに出向。14年5月に国連を退職、6月より現職。公共政策と民間利益の『共創』をテーマに活動する。