2月に入り金価格は大幅上昇、円/ドルは110円台前半に突入、日経平均は14,000円台をつけ、原油価格は26ドルまで低下と大荒れとなった。まさに「安全資産買いのリスク資産売り」というリスクオフである。ここまで方向性のはっきりした相場となる理由は、中国経済を中心とした世界経済の景気減速懸念だけではない。そこには市場流動性の質的変化がある。
たとえば世界的に中央銀行による流動性供給が続いているにもかかわらず、それが実体経済への流動性供給へとつながっていない。その理由はリーマンショック後の金融規制強化にある。金融システム安定のための様々な規制強化により銀行が市場リスクを取れなくなっている。また一時期100ドル/バーレルを超えていた原油が20ドル台に突入したことにより、オイルダラーといわれる中東の資金が大幅に流出となっている。
いうなれば市場を安定化させる流動性の供給者が不足しているのである。一方でこういう環境で影響力を増すのがヘッジファンドなどの短期的取引を行う投資家である。つまり長期的資金が限られる中で短期的資金の流出入が起こるために市場ボラティリティは上がり、そしてそれがディレクショナルになりやすくなっている。
重要なのはファンダメンタルズの変化以上に市場価格が大きく振れる状況にあるという点である。こういう環境は、リスク投資家にとって絶好の買い場を提供してくれる可能性をもたらす。価格が大きく下がったことを危惧するのか、逆に安く買えると喜ぶのか。運用の成果はこういうリスクオフ局面でリスクオンになれるかで大きく変わる。
FOLLOW US
Forbes JAPANの最新のニュースをお届けします
続きを読むには、会員登録(無料)が必要です
無料会員に登録すると、すべての記事が読み放題。
著者フォローなど便利な機能、限定プレゼントのご案内も!
会員の方はログイン